真夏の君は透明で儚い 2 (ページ17)

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今日は忙しかったから残業確定だったのに、お父様がパク専務の息子さんとの食事に気を利かせてくれたため、18時30分には退社できた。

変なところに気を利かせてくるお父様にちょっと苛立つ。私にはチャニョルという人がいるのに...

もう、チャニョルへの想いはそこらへんのアイドルオタクの人たちに負けないくらい強いと思う。
いや、もはや彼は私の青春時代のアイドルだ。

変な話だが、たくさん貢ぎたくなる程度に好き。

「ソジュンさん、お疲れ様」
「はい。お気をつけてくださいませ」
「うん、私にはチャニョルがいるのに...」
「A様は、見かけによらず片思いが上手ですよね」
「はいはい。ソジュンさんまで私を罵る気なの？」

帰る準備をしているとソジュンさんに笑われた。こんな紳士に笑われるなんて、私ってどんな女なの。

「先日お食事に行かれたご友人にも何か言われたのですか？」
「まぁ、そんなところ。ベッキョンって覚えてる？アイツ、私に意地悪なの」
「はい。存じ上げております。以前会社の前でお会いしましたよね。好青年だったので記憶にあります」

え、とソジュンさんを見ると頭の上にハテナを浮かべている様子。

「ベッキョナが好青年？」
「はい。とても感じが良く、素敵な方でした。てっきりはじめは、ベッキョンさんに好意を抱いているのかと...」
「えぇ！！」

またしても大声を出してしまう。
だって、ベッキョナに好意を抱くだなんて！！！

「そんなに驚かれましても...」
「分からなくもないけど、私にはチャニョルだけなの！」
「存じ上げておりますよ」

ため息をつきながらフッと笑うソジュンさん。
この話、何回したのか分からないね。ソジュンさんごめん。

話がひと段落してから、以前チャニョルたちから貰ったゴールドの腕時計をチラッと確認する。
あと30分くらいでパク専務の息子さんが来る。

「ソジュンさん～」
「なぜ嘘をつかなかったんですか？」
「だ、だって！お父様とパク専務は仲が良いから、ないがしろにできなくて...」

うーん、と頭を抱える。
はぁ、本当にこういう時だけサボれない私って何...

「A様は優しい人ですね。会長のために嘘をつけなかったなんて。お人好しすぎます」

ソジュンさんに優しいとか言われたのは初めてだから、ちょっと嬉しかった。
なんて言うんだろう、近所のお兄さんに褒められた幼稚園生みたいな気持ち。

「さ、そろそですので。」

その言葉にまたため息をついた。