真夏の君は透明で儚い 2 (ページ16)

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あの日は同じ方向のギョンスと一緒に電車に乗って、反対方向のベッキョンとチャニョルとは改札で別れた。

あぁ。
長すぎる片思いに笑えてくる。
と、今日も仕事をしながら考える。

「A様。パク専務がお見えです」
「少し表で待っててもらえる？今すぐには手が離せなくて」
「かしこまりました」

ソジュンさんが部屋から出ていく。
パク専務、パクって名前なのに全然違う。

「はぁー」

こりゃまた大きなため息。
急ぎの書類にだけ目を通して、赤ペンで手直しをする。

「ソジュンさん、パク専務を呼んでください」と大きな声でソジュンさんを呼べば、外で待っていたソジュンさんが部屋に入ってきた。

「はい。かしこまりました」

あぁ、ソジュンさんてば。
いつも綺麗な90度のお辞儀。
そんなことを考えていたら、部屋の中にパク専務が入ってきた。

「パク専務、お久しぶりです」
「お久しぶりだね。Aちゃん」

にこやかな表情を見せるパク専務。
私が小さい頃から良くしてくれた優しいおじさんだ。

「本日はいかがなさいましたか？」
「ハハハ！まぁ、これと言って用はないんだけどね。うちの息子を紹介しようかと思って来たんだ」

え、いーよ！専務、それお節介だから！
専務の息子さんとか、遠慮だから！

「今夜とか、どうかな？」

専務、初めてあなたのことが憎いと思いました。
そういうの、いいってずっと言ってたのに。

「では、ぜひ」
「おぉ、それは良かった。息子も喜ぶよ」
「楽しみにしております」
「あぁ。では失礼するよ」

ただ悩みのタネを撒いて出て行った専務の後ろ姿を睨みつけた。
あぁ、これはいけない。

ぜひって言うしかなかった私。
だってお父様と専務は仲が良いから断ったら失礼だし、初めから私に拒否権はないのだ。

「ソジュンさん」
「はい」
「何でこう、不自由な世の中なのかしらね」
「ハッハッハッ！今更何を仰るのですか」
「たしかに、今更ね」

ソジュンさんに愚痴をこぼせば、ごもっともなことをいうもんだから思わず笑ってしまった。
そうじゃないのに！

お昼過ぎにはパク専務の息子さんからメールが届いていて、“19時半に迎えに行きます”の一文に大きくため息をついた。