真夏の君は透明で儚い 2 (ページ2)

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ナヒちゃんの注文をとりに行くのも俺だったし、彼女が頼んだベリーソーダとレアチーズケーキを持って行ったのも俺だった。

ナヒちゃんの席に行く度に彼女からは声をかけられて、たわいもない話をした。
もちろん、俺の気持ちはいつもと違う態度のAちゃんに向いていたのだけど。

「なぁベク。あの可愛らしいナヒちゃんって子、お前のこと気になってるよな？」

彼女の席にレアチーズケーキを置いて談話して戻ってきたらこれだ。
チャニョルがニヤニヤと俺を見て勝手なことを言う。

「さぁな」

やめろよ、パクチャニョル。
ちょっと離れたところでコップを拭いているAちゃんに聞こえたらどうしてくれるんだよ！

だって機嫌が良くないじゃないか！
もし原因が俺だったら、もしかして..？とか思うけど、それよりも好きな子のシュンとした姿を見るのはごめんだ。

「ベク、あのさ...『ベッキョンくん！』

Aちゃんが何やら話そうとしていたけどそれに被せるようにナヒちゃんの声が聞こえた。

「ベッキョンくん。明日の2限のことで、ちょっと」

ちょいちょい、とナヒちゃんが控えめに手招きをしている。明日の2限、というのは俺とギョンスとナヒちゃんの共通の講義のこと。

「Aちゃん」
「あっ、いいの！私もうすぐで上がりだし」
「えっ、ちょ、俺ももうすぐだから、一緒に帰ろ！」

無理矢理ニコッと笑っているようなAちゃんに、俺は勝手に約束をさせた。
ここで何もなしにAちゃんとバイバイをする雰囲気ではなかったから。

「でも...」と小さな声が聞こえたけどそんなのは無視した。

「おいベッキョナ。友達に呼ばれてるぞ！」

チャニョルの声でナヒちゃんか、と客席の方に目を向けた。
はぁ、だなんて柄にもなくため息をついてナヒちゃんの元に向かう。

「ナヒちゃん、俺もうすぐ上がりだからその話明日でも良い？」

俺はね、それどころじゃないんだ！と言わんばかりに言い切った。女の子相手にこんな対応をしたのは初めてかもしれないってくらいだ。

「えっ、あ、、、」

もちろん、彼女は驚いている様子だった。だって俺はそんな態度をとったことがないから。

「ごめんね。」

半ば強制的にそう言い捨てて、レジに向かう。
俺の態度はまさに、“食べ終わったなら、お会計を”って言っているようなものだった。

自分でも言うがなかなか最低だ。
笑っちゃうけど、俺はAちゃんのこととなると必死すぎる節があるんだ。多分