真夏の君は透明で儚い 2 (ページ1)

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何気ないある日のことだ。
16時30分を過ぎた頃、店の入り口のドアが開いた。

「いらっしゃいませ～」

可愛らしいAちゃんの声が聞こえる。
俺はメニューを持ってホールに出る。

「あっ、ベッキョンくん！」
「あれ、ナヒちゃん」

花柄が散りばめられた薄いピンク色のワンピースを着たナヒちゃんが、入り口に立っていた。

バイト先の話は何度かしたことはあったけど。
だなんて、ボーッと考える。

「ベク、知り合い？」そう言って声をかけてきたチャニョルに、俺は頷いた。
そしてAちゃんに目をやる。

少しシュンとしたAちゃんが、手に持っていたトレイを見つめていた。

えっ、
なんで、シュンってしてるの？
そんな考えに俺はドキドキしてしまう。あぁ、ダサイけど仕方がないだろ。
好きなんだから。勘違いもしちゃうだろ。

「ベッキョンくんが働いてるって言ってたのを思い出して、いるかなって来ちゃいました」

そう言って笑うナヒちゃん。
んー、確かに可愛いけど、可愛いんだけど。

「あー、じゃあ、ほら。ベクが案内してあげなよ..」
「えっ、あ、おう」

ギュッとトレイを強く握りしめたAちゃんに、俺はなぜか焦ってしまう。
変な汗も出てきた。

「ってかベク、お前汗かいてんぞ」
ワハハッとデカい声で笑うチャニョルのことを、思わず持っていたメニューで殴った。

だってだって、Aちゃんが！
シュンってしてるんだよ？さっきまで普通だったはずなのに。

「ベッキョンくん、この前の小テストできた？」
「あー、わりとな。平均ぐらいかな」
「そっか～。意外と難しかったよね。アレ」

キュッと口を尖らせるナヒちゃんを見ても、Aちゃんのことで気が気じゃない俺は何も感じない。

きっと他の男だったら、可愛いとか思うんだろうけど。

席に座ったナヒちゃんにメニューを渡した時に、ナヒちゃんと手がぶつかった。
別に浮気をしているわけじゃないのにAちゃんに見られてないかな？とか考える。

というかそもそもAちゃんと付き合っているわけでもないのにな。
俺変なの。