機械仕掛けの世界で君を想う4 ページ13
嫌ではなかった。
顔が良いからだけではない。普通、知り合ったばかりの人にそんな事をされたら気持ち悪くて鳥肌が立つだろう。
それでも私は懐かしい、そのあたたかな気持ちのみに包まれていた。
「ありがとう。大事、だと、そう言ってくれたそれだけで僕は救われたよ。」
暖かいのはまだ彼の腕の中だからだ。ただでさえ暑い日なのに、もうポッカポカだ。汗が気になる。
「…ねえ、もしかして君、上の空じゃない?」
チラリと上を見上げるとじとりとこちらを見るイケメンと目が合った。
「いや、かっこいいあなたとこんなくっついていて、幸せなのだけど…。
恥ずかしすぎて、ポカポカしすぎて、自分がにおわないかな…と。」
何だ私のこの口は。恥じらいがないのか。なんてことを口走るのか、正直者め。
余計な事を口走った自分の口を恨めしく思っていると。
「っふ…とてもいい香りがするよ、ああ、僕も幸せ者だな…。」
肩に顔が下りてきた。なんてことだ。匂いをかがれている。恥ずかしい、やめてくれ。
せめて香水でもつけていれば…あ、でも、今持っている鞄の中身はいつものと違うのか…
とかグルグル考えていると。
「あー。やだなあ…。」
何が嫌なのか。なぜか苦しいくらいにぎゅぎゅっとされている。
「なぜ…?というか苦しい…。」
以外にも逞しい胸板に頬を預けながら呟く。
「限りある時、またリセットされると思うと辛くて。」
まるで放したくないと言われているようで。
「大丈夫だよ。私はここにいる。」
「君、さっき夢って言っていたじゃない。どうせすぐいなくなっちゃうんだ。」
「離れてもここにいる。」
ぐりぐりと胸板に頭をこすりつけながら言う。
何て恥ずかしい事をまたこの口は言うか。ただ、寂しがりやの駄々っ子のようなこの人の寂しさが少しでも和らぐと良いと思う。
「絶対だよ。また、ここへ…。記憶を無くしてても良いから来て。」
「わかった。頑張る。」
そう言って笑った私を見て彼の頬を涙が伝う。
ああ、目覚めたくないなぁと。
最近悪夢ばかりだった私は久しぶりに名残おしさを感じる。
そしてこの別れの感覚は覚えのあるもので。
「またね、A……。」
「うん、また。−−−。」
目を開けると、布団に頬をこすりつけていた。何処かあたたかなそれは、彼の名残を感じた。
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カナ(プロフ) - 龍さん» わー!嬉しい*\(^o^)/* ありがとう〜時間作ってがんばることにする。でもまだワンピの方の龍のリクエストも書けてないっていうね…笑 ルフィだったかな? (2017年6月10日 14時) (レス) id: 86f63bd068 (このIDを非表示/違反報告)
龍 - 読んだよ―!気長に続き待ってるww (2017年6月10日 14時) (レス) id: 59c104e2eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナ | 作成日時:2017年6月8日 20時