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急ぐ僕の後ろを彼女のマネージャーのユリさんが追いかけてきて、
「裏口から出れば目立たないわ。
そのに車を用意させているから、そこから出て」
と指示してくれる。
その指示に素直に従い、震えている彼女を抱えながら外に出て車に乗り込む。
同じように助手席に乗り込んだユリさんが運転手に指示を出してくれるから、この後のことは彼女に任せて僕は僕の胸に顔を埋めながら静かに涙を流しているAの頭を撫で続けた。
そうこうしているうちに、何とかパパラッチの追跡を巻いたみたいで、あるホテルの地下駐車場で車が止まる。
「Aを助けてくれてありがとう。
このままAと一緒にホテルの中に入って。後のことは私が何とかしておくから」
僕はその言葉に甘えて部屋のカードを受け取り、彼女を抱えながら部屋に入る。
僕は小春を抱えたまソファーに座り、震えが止まらないAの耳元で僕は静かに語りかける。
「A。助けるのが遅くなってゴメンね。
もう大丈夫だよ」
僕の声にAがゆっくり顔を上げた。
「グク。…怖かった」
消えそうな声で呟く。
でも直ぐにまた思い詰めた表情を浮かべた。
その顔はさっきまでの知らない男性に触れられた恐怖とはまた違ったものだと直感的に思った。
「A……?
僕にAが今思っていることきかせて」
そう、Aの頬に片手で触れ、視線を合わせて優しく問いかける。
Aは少し迷うように瞳を揺らしたあとで僕に呟く。
「ごめんなさい。
沢山のカメラがある前でグクにこんな事させてしまって。
きっと、グクのarmy達をガッカリさせた」
Aは優しい。
いつも僕のことを思ってくれる。
自分が傷ついている、こんな時でも。
だけど、僕はAが大切なんだ。
Aがいないと生きていけないぐらい。
だからそんな悲しい顔しないで。
「A……そんな風に思わないで。
確かに僕はアイドルだ。僕の行動はarmy達には受け入れられないかもしれない。
でも、その前に僕は君の夫で、僕にはA以上に大切なことなんてないんだ。
だから僕は少しも後悔してないよ。
だから謝らないで」
彼女の潤んでいるその大きな瞳を見つめながらゆっくり語りかけた。
「……うん。
グク……大好き。ありがとう」
彼女が涙を零しながら笑顔を浮かべる。
頬を流れる一筋の涙。
その涙は今までに見たどんな物より美しく思えて、吸い寄せられるように僕はキスをした。
愛してる、と思いを込めて
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優(プロフ) - とても読んでて楽しかったです!続きのパスワード教えて欲しいです! (2022年2月8日 12時) (レス) @page37 id: 95db141eb0 (このIDを非表示/違反報告)
美加莉(プロフ) - さくらさん» あ!そうなんですね!!いえいえ、全然大丈夫です!ご対応ありがとうございました😭 (2021年11月23日 21時) (レス) id: d0142f9e8a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 美加莉さん» すみません!最初に小春という名前で始めた名残で一旦、小春という名前で書いて後で名前変換できるようにしています。ですが、所々出来ていなかったみたいです。サッと直しましたが多分まだ直せていない部分があると思うので、時間がある時に見直して直していきますね。 (2021年11月23日 21時) (レス) id: 7b4f4afa76 (このIDを非表示/違反報告)
美加莉(プロフ) - いつも楽しみに拝見しています!一つ質問なのですが名前の小春というのは主人公の名前なのでしょうか? (2021年11月23日 21時) (レス) @page17 id: d0142f9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2021年11月15日 19時