〇 ページ9
「だから、毎日辛くて……ただ現実から目を背けたくてここに来て川を眺めているの。川を見つめていると少し現実を忘られるから」
涙を堪えているのを見られたくなくて、俯く。
「……Aは十分頑張ってるよ」
ただ一言グクはそう言って優しく頭を撫でてくれた。
その時の私は、彼のその言葉に救われたのだ。
誰も私の事を見てくれない。
肯定してくれないと思っていた。
だけど彼だけは弱い私を認めてくれたから。
その日から私達は、以前より自分たちの話をすようになった。
毎日のように家族の話しや、楽しかったこと、悲しかったこと、とにかく何でも夢中になって話した。
私は彼に演劇が好きで鑑賞した舞台を自分の中で解釈して演じる事が好きなこと、ピアノを習っているこたなど私のことをもっと彼に知って貰いたくて沢山自分の話をした。
今思えば家族以外に自分から演じる事が好きなことを話したのは彼が初めてだった。
それほど彼は特別だった。自分の秘密を話してしまうぐらいに。
彼と話しをすると、辛かったことなんて忘れてしまう。
ただただ彼に会うのが彼と話をすることが楽しかった。
この時は、まだこの気持ちの正体に気づいてなかった。
そんな日々を過ごして出会ってから2週間がたった頃
グクが歌を歌ってくれた。
彼の透き通る素直な歌声に、私はただ夢中で聞き入った。
「グク！凄い！私グクの歌声凄く好き！
もっともっといっぱい聞きたい！」
私が手放しで喜んだら彼は照れくさそうに笑って、ハニカミながら言った。
「じゃあ、毎日歌ってあげる。Aの為に」
次の日からグクは毎日のように夕日に照らされる川を見ながら歌ってくれるようになった。
彼の歌を聞く度に、彼の特別になれた気がした
彼の近くで彼の歌を聞くことが出来るのは私だけなのだと。
いつの間にか演じることが一番じゃなくてグクの傍にいる事が私の一番になっていた。
いつの間にかグクと過ごす時間が私の特別になっていた。
でもそんな幸せな生活は長くは続かなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 698人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくら(プロフ) - ユランさん» 初めまして。コメントありがとうございます。申し訳ありませんが、commuのメッセージから連絡お願いします。 (2022年1月19日 11時) (
レス) id: 7b4f4afa76 (このIDを非表示/違反報告)
ユラン(プロフ) - はじめまして！コメント失礼致します。ぜひafterのパスワードを教えて頂きたいのですが、どうしたら良いでしょうか？ (2022年1月19日 1時) (レス) id: 3577ee91eb (このIDを非表示/違反報告)
みずみず(プロフ) - さくらさん» 了解しました！ありがとうございます!! (2022年1月10日 19時) (レス) id: b6d5e43889 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - みずみずさん» コメントありがとうございます。commuのメッセージから連絡頂けると有難いです。 (2022年1月10日 18時) (レス) id: 7b4f4afa76 (このIDを非表示/違反報告)
みずみず(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いております。secondやafterのパスワードなどは、どこで教えて貰えるのか教えて下さると幸いです。 (2022年1月10日 9時) (レス) id: b6d5e43889 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら | 作成日時：2021年11月3日 19時
