拾ってくれたのは年下男子

1 ページ1

『話したいことがあるんだ』



幼馴染の毅に呼び出されたクリスマスイブ。



なんてことない話なら、いきなりうちにやってきて勝手に私の部屋に入ってくるくせに。



こんな改まって『話したいことがある』なんて言われるとなぜかソワソワと落ち着かないんだ。



呼び出された小さな公園。



大事な話があるときは必ずこの公園で話すんだ。



公園に着くと滑り台の階段に震えながら私のことを待っている毅が見えた。




「風邪ひくよ。はい」



震える毅に温めてきたカイロを一つ手渡す。



『サンキュ』


毅の座っている2段下に腰を下ろしてわざと見えないように座った。



動揺した表情を見られたくなくて。



気づいてしまったから。



私が来るまでの間、幸せそうな笑みを浮かべてスマホをいじっている毅に。



声をかける前に目に入ってしまった女の子とのメッセージのやり取りが。



「彼女でもできた？」



少しの動揺も見せないように静かに尋ねると、私の勇気も無駄になるほど大きな声の毅のクシャミが上から聞こえてきた。



『悪い、頭にかかったかも』



「もう、汚いなー」



『なんでそっち向いて座ってるの？』



「ん？なんとなく…」



こんな時、ズルいんだ。



『Aに面と向かって話さないと意味がないんだ。ほら、立って。あっちのベンチに移動しよう』



頭をポンポンと叩き、私に立つよう促せば、自分は階段を登り滑り台を滑って降りていった。

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す