2ご *避けないで* ページ35
とは思ったものの、なかなか勇気が出せなくて、もう放課後になってしまった。
今日は茶道部があるらしく、悠太も春もいない。
要も新学期が始まったばかりだから、生徒会があるんだとか。
千鶴は・・・知らない。
そそくさと先に帰った。
茉咲のとこだと思う。
ちょっと浮かれ気味だったから。
で、残ってるのが祐希だけ。
用事なんかないはずなのになんで残ってるんだろう。
皆が出ていった教室には、アタシと祐希しか残っていない。
おう。
気まずい。
帰るタイミングを完全に逃した。
LTに居眠りなんかするんじゃなかった。
珍しく授業で起きてたせいか、がっつり寝た。
時計を見ればLTが始まってから30分は経っていた。
ゴソゴソと帰り支度を始める。
少しのノートと教科書をスクバに詰めこむ。
隣りの祐希は肘をついて外を見ていた。
横を向いているから、表情は見えないけど、どこか悲しげだった。
早く帰れ、早く帰れ、と祈る。
その一方で、何かしゃべらなきゃ、と焦ってもいた。
ダラダラと汗が流れる。
夏の暑さと、緊張と、どっちのせいでもあって背中に、首に、顔に滝のように流れる。
最後の筆箱をしまう前に、汗を拭こうとタオルを取り出す。
この暑さの中、なぜか底の方にしまってしまったタオルは、取りだそうにも引っかかってしまってなかなか出てこない。
引っ張ったら、バラバラと落ちていくノートたち。
あ『あ・・・』
何やってんの、アタシ。
慌てて拾い出すけど、机にぶつかって、頭の上にスクバと筆箱が落ちてきた。
クリーンヒットだ。
あ『っっー・・・』
痛くはなかったけど、恥ずかしくて頭を抱えて座り込んだ。
ホント、何してんだか。
しばらくうずくまっていたアタシが聞いたのは、紙の擦れる音。
何かと思って顔を上げると、祐希がノートを拾ってくれていた。
祐希「はい。」
あ『あ、ありがとう。』
きれいにそろったノートを差し出される。
お礼は言えた。
なんだ、しゃべれるじゃん。
ちょっと安心。
祐希「A。」
あ『は、はい!』
ホッとしたのもつかの間。
話しかけられて、声が裏返った。
祐希「何に怒ってるかはわからないけど、避けるのはやめて。」
そう言った祐希はとても悲しそうだった。
それも見たことがないくらいに。
泣きそうなくらいに。
そっか、アタシはこんなに祐希を傷つけちゃったんだ。
あ『・・・ごめん、祐希。ごめんね。』
なんだかアタシまで泣きそうだ。
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