きみにキスを９ (ページ11)

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161.ﾊﾝﾊﾞｰｸﾞと彼女の存在ページ11

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A「おかえりなさい♪」

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リビングじゃなくてキッチンじゃなくて

玄関で出迎えてくれたA。

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和「ただいま。……ここでずっと待ってたわけ？」

A「ちょっと前からよ？そろそろかなぁってね、急に思ったから。」

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かずレーダーが働いたのかもねって笑いながらキッチンに戻って
スープを温めたりハンバーグを盛り付けたり。

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その様子を見ている俺と目があったAは

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A「…見ないでよ///緊張して落っことしそうだから。」

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そう言って俺をキッチンから離そうとする。

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和「落とされたら困るから手洗ってくるわ(笑)」

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…女の子がいると部屋の空気が変わるなぁ。

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数日前までは真っ暗な部屋に帰ってきて

冷蔵庫に直行してビール片手にソファに座って

ゲームばかりで……不毛な生活だったのに。

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それはそれで、それなりにいいんだけどさ。

Aがいるこの状況ってのはまた別格なんだと思う。

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和「旨そう♪」

A「早めに帰ってきてくれてよかった♪」

和「今日は何してたの？」

A「荷物ちょっと取りに行って…スーパー寄ってご飯作ってた。」

和「…今日も泊まれる？」

A「うん、明日はちょっと会社に残務処理で行ってくるね。」

和「今朝みたいにグースカ寝てたら遅刻だな(笑)」

A「グースカって…いびき？」

和「大丈夫、可愛い寝息だったから(笑)」

A「…も～っ！」

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二人で飯を食って、笑って

こんな普通の会話をしていると

Aがここにいるのが当たり前のように思えるし

ずっとこのままいてくれんじゃないかって……そう、思えて仕方ない。

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カナダだのなんだのが

俺の聞き間違いだったんじゃないかなぁ…

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キッチンで後片付けをする姿なんか見ちゃうと

あれは自分の幻聴だったんだって思いたくなるよ。

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A「……かず、あのカナダの話なんだけどね…」

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片付けを済ませて隣に座ったAさんから出てきて話題。

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あぁ…残念

……幻聴じゃなかったわ。