１ アイツと私。 ページ1
Aside
昼休みが始まって、約１０分が過ぎた頃。
私はかなり荒い息をしながら、屋上への階段を走っていた。
「……はぁっ……はぁっ……マジ死ぬ……」
ようやくその長い階段を登り終えると、ひざに手をついて息を整える。
ゆっくり深呼吸を数回繰り返すと、私は屋上の扉を開けた。
「……優吾……来たよ……」
優吾「……おせーよバカ。」
私の視線の先には、ごろりと横になってスマホをいじる優吾の姿だった。
優吾「LINEしてから何分かかってんだよ。」
「……たく、仕方ないでしょ？教室からここまでどんだけの距離だと思ってんの。」
優吾「にしても１０分はかかりすぎ。お前、絶対購買に寄り道しただろ？」
「ｷﾞｸｯ……なんでそれを……」
優吾「幼馴染舐めんな。てか、お前のその簡単な思考回路ならすぐわかるわ。」
相変わらず腹が立つ物言いをする、アイツ。
優吾「ほら、早く飯食うぞ。マジ待たされたから腹減ってんだよ。」
「はぁ？何その言い方。てか私、優吾とお昼食べる約束してないし。」
優吾「いっつも一緒に飯食ってんだから考えなくてもわかるだろバカ。」
「それは日によって違うでしょ！？」
優吾「俺がいつ日によって違うとか言った？」
「……はぁ……」
もう反論する気も失せて、おとなしく優吾のそばに寄ってお弁当を開いた。
優吾は言うが早いがさっさとご飯を食べている。
「……そんなにお腹すいてるなら、さっさと食べときゃよかったのに。」
優吾「……Aが来るまで待つに決まってんだろ、バーカ。」
そっけなく言う優吾だけど、こういう時は優しい。
「……ふーん。……ありが優吾。待っててくれて。」
優吾「……別にお前のためじゃないし！！勘違いすんなバカ！！」
「結構前から思ってたけど、ちょいちょいバカって言うのやめて！！」
優吾「お前実際バカじゃん。俺素直だから、そういうのハッキリ言うの。」
「はぁ〜？優吾よりは成績いいし！！……国語だけ！！」
優吾「はい俺の勝ち〜ざま〜」
「も〜うっさい！！」
……やっぱ前言撤回。
私の幼馴染のコイツ、クソ意地悪でクソドS！！
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作者名：すのうHIINA | 作成日時：2023年3月17日 20時
