真選組のドS美人【銀魂】《6》

ウホッホ《フール》 ページ10

「ウッホー。ウホウホウホウホホ」
《うっわ。マジで気付いてねェや》


後頭部でカチリと音がなると、世界が外れた。


...え？外れた？


外れたと思ったら、目の前にいるのは人間のザキとゴリラの近藤さん。いつも通りの光景だ。


どういうことだと後ろをゆっくり振り返る。怒らないから、Aお姉さん怒らないから。



あ「どういうことかな総悟くん？」


栗色頭のそいつは、きしょ、と一言。


沖田「ま、いいや。おかげで面白ェモン見れやした」


ニヤニヤしてる。その手元にあるのは黒いブツ。見たことある、それ。


あ「なに、そのカラクリを私につけてたの？」


沖田「VRでさァ」


あ「ぶいあーる？」


沖田「VR」


近藤「ぶいあーるか！」


沖田「VR」


無駄にいい発音がイラッとするが、今は事情聴取が先だ。


あ「なに、私は朝起きる前からそのヴ、VR？をつけられてたわけ？」


沖田「おう」


山崎「あ！それってもしかして『まるでつけていないかのような心地良さ』...的な売り文句の...！？」


...いくらなんでも気付かなさすぎないか？あれかな、ゴリラがいの一番に目に入ったから、そんなカラクリにかまけてる暇がなかった...から余計に？気付かなかったの？


あ「...なんでゴリラ？」


沖田「作ったはいいものの売れ行きが悪いってんで、宣伝することを条件にタダでゲットだぜィ」


そりゃな。誰が見る人全員ゴリラにしようと思うんだ。ゴリラ好きな人がゴリラの世界に入りたいからっていう以外の理由で買う人いなさそうだもんな。売れ行きっつーか数えられるくらいしか売れてないだろ、片手で足りるだろ、もしかしたらゼロだろ。


後ろ手に持っていたのか、『ドッキリ大成功』の看板を見せられる。


沖田「ほらアレ」


その看板で差す軒下を見上げると、隠しカメラがあった。


あ「...え？」


沖田「動画提供すれば、金もくらァ」



...悪い顔を浮かべる、沖田くん。


沖田「CMになるんじゃね？」


あ「は？」


沖田「定期的にお前の間抜け動画見れるし、金は入るし、いい事だらけじゃねェか神田くん」


...私のプライバシーどこいった？









後日。







見事CMになったゴリラVR。私の恥ずかしい動画も一部採用された。その度に総悟がニヤニヤするもんだから、CMに怯える日々を暫く過ごした。



P.S.面白半分でゴリラVRを買った人はいたみたいだけど、やっぱりあまり売れなかった様子。斬新さは褒め称えてあげよう。

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