【イナゴ】ドSな執事たちが。【狩屋・剣城】 (ページ8)

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キスをしたまま、藍色の髪が私をゆっくりと抱き寄せる。

「___っつ！」

私は我にかえり、藍色の髪を押し返そうとした。
が、彼の力にはかなわなかった。

「何故、嫌がる？」
「だ…だって…」

私は抵抗しながら、彼の腕の中で叫んだ。

「だって、知らない人にいきなり抱きつかれたり、き、キスされて平然としてる人なんていないでしょ⁉」

その瞬間。
突然、藍色の髪が抱き寄せていた腕を離した。

「え…？」

彼の顔を覗くと、すごく悲しそうな目をしていた。

「ちょ、ちょっと…？」
「…やっぱ、覚えてねぇよなぁ…」

そう呟くと、私のおでこにキスを落とした。

「んなっ…‼」
「俺は剣城京介。あいつが嫌だったら、俺に任せて下さい、お嬢様。」

剣城は笑うと、部屋を後にした。

一人残された私は、剣城にキスされたところをそっと抑えた。

「なっ…なんだったのよ…？」

・

・

この静かな部屋で、

心臓がずっと煩かったっていうのは、

秘密。