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「山田でいいじゃん」
「は？」
「山田が起こしてくれたらいいじゃん」
「えっと…………あ、モーニングコールね！
わかった、俺電話するから何時に起こしたらいいか教え、」
「直接じゃなきゃダメ」
「え…っ」
「朝、山田が、直接起こしてよ」
「えっ！？」
「今、俺ん家の近くいるんでしょ？」
「えっ、ええ……っ！？」
なんでバレてんの！？
伊野尾ちゃんってエスパー！？！？
「さっき一緒のタイミングで救急車のサイレン聞こえたから」
「あ…そうですか…」
慌てる俺にトドメを刺すように、冷静に返される。
ちょっとまって、恥ずい恥ずい。
ってか、直接って、それってつまり…
「会いたいよ、やまだ」
あっ、俺いま、すごい心臓きゅーーーーんってなった。
ちょっと切ない声色でそれはズルい。
かわいい、伊野尾ちゃんかわいい。顔が見たい。
思わず電話を切って、マンションまでダッシュする。
伊野尾ちゃんの部屋の前で合鍵を使うより早く、その扉が開いた。
そのまま滑り込むように中に入って、びっくりしてる伊野尾ちゃんに飛び付く。
「ちょ、痛えよ山田」
「俺も…俺も、会いたかった……」
そう言ってより一層強く抱き締めたら、そっと抱き締め返してくれた。
俺の考えてることなんてお見通しなところも、
なんだかんだ俺に甘いところも、全部好き。
「…誕生日おめでとう」
直接言えて良かった。
少し離れてそう言うと、
想像よりもずっと嬉しそうにはにかむ伊野尾ちゃんがいた。
END
伊野尾さん、お誕生日おめでとうございます。
30代になることにちょっとだけ不安があるのかもしれませんが、大丈夫です。あなたはかわいいので。
これからもただ笑っていてくれたら幸せです。
いつもわたしの生活に彩りをくれてありがとう。
この世界を選び続けてくれてありがとう。
素敵な１年になりますように。
2020/06/22
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作者名：ゆず
| 作成日時：2020年6月22日 0時
