検索窓
今日:13 hit、昨日:12 hit、合計:97,038 hit

ページ16

「………って、知念にこんなこと言うの恥ずかしいな」


照れて、撫でてた手をパッと離す山田。

もうお開きにしようか、と準備を始めた。


「…知念?」



…………おれ、知念じゃないよ。


山田が好きだっていう伊野尾だよ。



どうしよう、山田が本当は知念の俺を見てそんな顔するの嫌だ。


そんなこと言わないでほしい。

目の前にいるのに、ただ横で聞いてるだけなんて悲しい。



だめだ、黙って見つめてるなんて山田も変に思うよね。

でも、だって、俺だって気づいて欲しい。


こんなこと思ったって仕方がないのに、山田を見つめたまま泣きそうになった。



「………いの、ちゃん?」



へ、今なんて…。


山田の口から出てきた言葉に思わず耳を疑った。

一瞬、寝てる知念が起きたのかと思ったけど、その瞳は俺と合わせられたまま。


「…って、そんなわけないか。
知念は知念だよね」


変なこと言ってごめん、と謝る山田。


「あの、やまだ!じつはっ、」


気づいてくれた。

俺だって、山田が。


嬉しくなって、山田に全て話そうと立ち上がった瞬間。

立ちくらみがしたと思うとそのまま意識を失った。









.









「──知念!いのちゃん!しっかりして!」


どこからか山田の声が聞こえると、フッと目が覚めた。

あれ、俺どうしたんだっけ。


「あっ、いのちゃんよかった…!」

「やまだ…」

「急に知念が倒れたからびっくりしていのちゃんを起こそうとしたのに、全然起きないんだもん!」


泣きそうな顔でそう訴えてくる山田。

…ちょっと、まって。


「いま、いのちゃんって…?」

「え?どしたのいのちゃん。頭打った?」


思わず自分の手を見ると見覚えのある指。

ぺたぺたと顔を触ると、慣れ親しんだ感触。


隣にはまだ眠ったままの、久しぶりに鏡以外で見る知念の顔。



…もしかして!


スマホを取り出して、内カメモードにすると映ったのは、紛れもない俺の顔だった。


「も、も、戻ったぁぁ………!」

「え、いのちゃん??」

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (296 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
475人がお気に入り
設定タグ:やまいの , ymin
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆず(プロフ) - みうさん» 初めまして。お返事遅くなり申し訳ありません。こちらこそこんなお話に目を止めてくださりありがとうございます。嬉しいお言葉をいただき恐縮です。これからも頑張ります! (2020年1月17日 22時) (レス) id: 8fbc10e54a (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - はじめまして!すごくドキドキさせてもらいました!!空気感が好きすぎました…しばらく生きていけそうですm(__)m二人の供給ありがとうございます!! (2020年1月15日 11時) (レス) id: 12483a5c68 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - JUMP の虜♪さん» ありがとうございます〜!ゆるゆるとした活動ですがまたぜひ遊びに来てください。 (2019年2月18日 17時) (レス) id: 8fbc10e54a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - shootingstarhapさん» お待たせしました…!ご期待に添えたか分かりませんが、そう言っていただけるととっても嬉しいです。ありがとうございます! (2019年2月18日 17時) (レス) id: 8fbc10e54a (このIDを非表示/違反報告)
JUMP の虜♪ - 番外編もすっごい良かったです!!他の作品も楽しみにしてます! (2019年2月17日 14時) (レス) id: 5a3b5569f1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆず | 作成日時:2018年12月18日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。