21 ページ21
「ふぅ……こんなもん?」
一先ず掃除が終わった教室を見渡し、手をぱっぱっと払う。
先程までケーキやらなんやらが散らばっていたのが嘘みたいに綺麗だ。
流石俺だわー。なまらピカピカだわー。
自分の素晴らしい仕事具合に満足し、一つ、大きく伸びをした。
よく意外って言われるけど、一度掃除を始めたら隅々まで綺麗にしたくなる性分だったりするんだよね。関係ない所まで掃除しちゃった。偉い俺。
きっとアニメの世界か何かなら、キラキラしたエフェクトでも出ているだろう。
それぐらい、綺麗にしたつもり。
自信過剰なんだろうけど。
百合さんの方を見ると、俺と同じように教室を見渡し、満足そうな表情を浮かべていた。
そんな彼女に、声を掛けようと口を開く。
「百合さんって、偉いよな」
俺が思ったことを口に出すと、怖いものを見たかのように、百合さんは恐る恐るこちらを振り向いた。
「……は?」
振り向いた百合さんの顔は、先程の満足そうな表情とは一変し、素晴らしく怪訝そうな表情になっていた。
冷たい態度にはもう慣れてしまった俺は、次の言葉を待つ。
きっと百合さんにとってその態度は普通であって、悪気は一切ないだろうから気にしない気にしない。
今日一日で俺の精神力は強くなった気がする。
また一歩、大人になってしまったな。
ふっ、と心の中で笑ってみせた。
「なんですか、急に」
百合さんは、はあ、と呆れたように溜め息を吐きながら、帰り支度をし始めた。
俺は気にせず、また口を開く。
「だって、いつもみんながやりたがらないような雑用してるべ? だから偉いなーって思って」
「……別に。自分が好きでやってるだけですし」
俺の言葉に一瞬目を見開いた百合さんだったが、ぼそっと呟きそっぽを向いてしまった。
だけど、少し見えるその頰は仄かに赤く染まっているように見えた。
……おやおやおやぁ?
俺はある事を閃き、ニヤァ、と口角を釣り上げた。
93人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱらこ(プロフ) - ちゃんかなさん» ほんとですか!すごく嬉しいです、ありがとうございます!殿堂入り出来たら本当に嬉しいんですけど、ちょっと難しそうですね(・ω-`;)更新頑張ります! (2016年7月17日 20時) (レス) id: 4590938f0d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんかな(プロフ) - キャラ崩壊どころか……キヨさんらしい感じのお話ですし、とっても読みやすいので大好きです!更新楽しみにしてますね!是非殿堂入りして欲しい作品です(´・ω・`) (2016年7月17日 2時) (レス) id: 92b328d118 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらこ(プロフ) - 雨雲悠真さん» ありがとうございます! 頑張ります(´∀`) (2016年7月14日 19時) (レス) id: 4590938f0d (このIDを非表示/違反報告)
雨雲悠真(プロフ) - ぱらこさん» キャラ崩壊してても面白いですよq(^-^q)更新頑張って下さい!(°∀°) (2016年7月14日 7時) (レス) id: 6db93648d9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらこ(プロフ) - 雨雲悠真さん» 出来るだけキャラ崩壊しないように頑張ります…。コメントありがとうございました! (2016年7月13日 19時) (レス) id: 4590938f0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱらこ | 作成日時:2016年7月9日 17時