17 ページ17
何も言わず、怪訝な顔でこちらを見つめる百合さん。
あ、そういえば俺、百合さんと話したいことがあるんだった。
一瞬、百合さんから発される不穏な空気が流れたが、彼女に用があったのを思い出した為、そんな空気は無視して口を開く。
「あ、そういえばさ」
そう話を切り出して、クロウンモのことについて聞こうと思ったが、ふと疑問を感じることがあった。
あれ、ていうか何で百合さんまだ教室にいるんだ？
彼女の手元に目を移すと、汚れている雑巾が握られていた。
なんで雑巾……？
俺の視線が百合さんの持っている雑巾に向いているのに気付いたのか、さっ、と自分の後ろに隠す。
「掃除、してたの？」
汚れた雑巾から連想するのはそれくらいしかなくて。
もしこれで、雑巾で自分の身体拭いてました、なんて言われたら驚きで俺の目玉は飛んでいくだろう。
まあ、そんなことはある筈もないんだけど。
その証拠に、俺の問い掛けに対し、目を泳がせて明らかに動揺している百合さんが目の前にいた。
この反応は図星ってことで間違いないだろう。
「なして掃除してたのさ」
「……なんとなく」
「なんだそれ」
素朴な質問に対し、素っ気ない返事を返される。
予想外の返答に、思わずふは、と笑ってしまった。
なんとなくで掃除するって、すげえな。
週に二回、強制で掃除をする日があるから個人的にわざわざ掃除をする必要は無いはずなんだけど。
そこから特に話すことも無くなり、二人の間に沈黙が続いた。
……流石に、気まずい。
生憎俺はそこらのコミュ力の高いやつらとは違って、そこまで仲良くない人と話し続ける、なんて能力は持ち合わせていない。
周りの人にはコミュ力あるとよく勘違いされやすいんだけど、そんな事は至ってないぞ。止めてくれ。
相変わらず続く気まずい沈黙。
どうすっかなー。
なんて考えてみたが、案外簡単に答えは見つかった。
そういえば俺、スマホ取りに来たんじゃん。
当初の目的をすっかり忘れていた。
別に記憶力がないわけじゃないぞ。決して違うからな。ただ、ちょっと一つのことにしか頭使えないってだけだからな。
……世間はこれを馬鹿と呼ぶのであろうか。
そんなの俺は認めないからな！
ちょっと、否、かなりくだらない小さな抵抗。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱらこ(プロフ) - ちゃんかなさん» ほんとですか！すごく嬉しいです、ありがとうございます！殿堂入り出来たら本当に嬉しいんですけど、ちょっと難しそうですね(・ω-｀；)更新頑張ります！ (2016年7月17日 20時) (
レス) id: 4590938f0d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんかな(プロフ) - キャラ崩壊どころか……キヨさんらしい感じのお話ですし、とっても読みやすいので大好きです！更新楽しみにしてますね！是非殿堂入りして欲しい作品です(´･ω･`) (2016年7月17日 2時) (レス) id: 92b328d118 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらこ(プロフ) - 雨雲悠真さん» ありがとうございます！ 頑張ります(´∀｀) (2016年7月14日 19時) (レス) id: 4590938f0d (このIDを非表示/違反報告)
雨雲悠真(プロフ) - ぱらこさん» キャラ崩壊してても面白いですよq(^-^q)更新頑張って下さい！(°∀°) (2016年7月14日 7時) (レス) id: 6db93648d9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらこ(プロフ) - 雨雲悠真さん» 出来るだけキャラ崩壊しないように頑張ります…。コメントありがとうございました！ (2016年7月13日 19時) (レス) id: 4590938f0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱらこ | 作成日時：2016年7月9日 17時
