【実.況.者】誰も知らない彼女の一面【キ.ヨ】

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「あれー？ キヨいなくなっちゃった！」

「キヨー！ どこいったのー！」


周りから聞こえてくる複数の女子の声。


「……はあ」


その声が遠くなったのを確認すると、草むらから顔を出し、近くの木に寄りかかり一息吐いた。


疲れた。なまら疲れた。

なんで毎回休み時間になる度に無駄に話しかけてくるかなあ…。

しかもしつこい。飯くらいゆっくり食べさせてほしい。


「なんとかならんもんかねえ…」


空を見上げ、もう一度ふう、と息を吐いた。


わお。素晴らしいくらいに透き通った青空なこと。

なんて、柄でもないことを思ってみたりする。


ゆったりと春の心地の良い風に煽られていると、だんだんと瞼が重たくなってきた。すると、大きな欠伸が一つ、眠気と共にやってきた。


「くああ……」


あー、眠いな……。

昨日遅くまでゲームしてたからかな。


ポケットからスマホを取り出し、時間を確認する。


……ふむ。昼休みは後15分くらいか。


今昼寝をしたとして、果たして俺は僅か15分で起きれるのか……？





起きれるわけないな。


よし、午後の授業は諦めよう。



頭の中で自分自身と会議をし、結論が出た為、地面に身を預け完全に寝る体制に入る。


ちなみに、地面つっても土とかじゃなくて草が生えてるから割と寝心地はいい。


草ってあれな。別に笑ってるわけじゃないからな。

寝転びながら一人で笑ってるとかだいぶやばいやつ。



話を戻して、ここは結構お気に入りの場所だったりする。

静かで、良い感じの風が吹いてるし。

所謂、とっておきの場所ってやつ。




さてと、寝るとしますかーっ。



大きなあくびを一つして、そよそよと吹く春の風に促されるかのように目を閉じた。

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