初恋。2 (ページ8)

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＊過去編＊(Kyungsoo Side) ページ8

その日はずっとずっと泣いていた。あんなに当たり前に過ごしていた日常がこんなに簡単に消えてしまうなんて。これからもっともっと色んな事をしていくはずだったのに。
もうあの笑顔に会う事も声を聞く事も名前を呼ばれる事も笑い合う事も出来ない。

「…っなんで」

あの時空港なんかに行かなければよかった。
なんで空港に行ったんだろう。思い出せない自分にも事故を起こした犯人にも腹が立つ。もう何もかも失ったような感じがした。

この日から僕は笑う事なんか無かった。

それから一週間経って僕は退院して、父さんと母さんと最期のお別れをした。父さんと母さんは凄く綺麗な顔で眠っていた。もう眼を覚ますことは無いなんて未だに信じられない。
それから僕は叔父と叔母に引き取られて三人で生活した。父さんと母さんと一緒に住んでいた家で。

最初は思い出すから嫌だったけど、思い出を手放したくないからこの家で再び生活する事を決めた。
別に不満も無いし普通に過ごせた。
でも、心に開いた穴は塞がらないし誰にも塞がれない。

あの事故から3年経ったある日。

「空から見てるのかな」

自分の部屋に飾ってある三人で撮った写真。
父さん母さん、見てる？僕は中学生になってこんなに大きくなったんだ。制服姿見てほしかったな。
今日は伯父さんと叔母さんと御墓参りしに行く。
それと、あの時何故空港にいたかを思い出すために空港へ行く。
行くのは辛いけど、でもこのままでは駄目だ、

叔母「ギョンスくん、行くわよ」

「あ、はい。」

伯父さんも叔母さんも優しくていい人だ。でもやはり敬語は抜けない。少し歩いてあの事故現場に着いた。

「……っ」

思い出す度に泣きそうになる、辛くて悲しくて会いたい気持ちが増すばかりだ。でもこの横断歩道を通らなければ空港はたどり着かない。
横断歩道を早歩きで渡って空港へ着く。

「…僕はここで何をしてたんだろう。」

誰かを見送った覚えはある。でも、なんで見送った？空港まで来て見送ったって事は海外の友達って事？

「ダメだ、思い出せない。」

もう諦めようと帰ろうとした瞬間、2人の子供に目がいった。男の子は僕と同じ韓国人。女の子は日本人っぽそう。この男の子はきっとこの子を空港まで見送りに来たんだろう。そう思っていたら少し頭痛がした。

「…なんだろう、なんか…」

僕にもあんな事があったような…。