初恋。2 (ページ7)

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＊過去編＊ (Kyungsoo Side) ページ7

ふと目を開けたら見たこともない天井で、周りが白で薬の匂いがした。あぁ、ここは病院か。
なんで病院にいるのかもわからない、今まで何が起きたのかもわからない。

医者「嗚呼、ギョンスくんようやく起きたか。二日間寝てたんだよ。」

「あ、あの、僕なんでここに…」

お医者さんが「え、」と声に出して吃驚していた。

医者「何にも覚えていないの？」

「いえ、何もってことは…。確か空港にいてそれで…。」

医者「そこから思い出せない…？」

「言ってくれれば思い出すかもしれません。」

医者「ギョンスくん、お父さんとお母さんの事は覚えているかい？」

「はい、確か三人で手を繋いで空港から帰ってました。」

医者「そこからは？」

「母さんと父さんの叫び声が聞こえて、それで誰かに強く押されて壁に強く頭ぶつけて…そこで意識が飛びました。」

医者「そこは覚えているか…。じゃあその前は？何故君は空港にいたんだい？」

「……何故でしょう。全く覚えていないんです。でも、誰かを見送った気がします。」

医者「…場所に行けば思い出す？」

「はあ…、多分。」

本当に何も覚えていない。なんで僕は空港なんかにいたんだろう。誰かを見送った気はする。でも、そんな空港に行く程だったのかさえわからない。

医者「軽い記憶喪失だね。日常に支障はないと思うけど、壁に頭を強く打ったせいか最近の中で一番楽しくて一番大切な記憶を失ってしまったみたい。」

「記憶…喪失。」

まさか漫画でもあるまいし。自分がそうなるとは思わなかったし夢でも見ているかと思った。けど、次の発言で記憶喪失なんてちっぽけに思えたんだ。

医者「…それとねギョンスくん。」

「はい」

医者「あと１つ大事な事を伝えないといけないんだ。」

「…大事な事？」

胸騒ぎがした。嫌な予感しかしなくてその大事な事から耳を傾けたくて仕方なかった。でもそう甘く傾けれる事はない。お医者さんは重く口を開けてこう言ったんだ。

医者「君のお父さんとお母さんの事だよ。」

「父さんと母さん…？」

医者「…」

「え…」

なんで何も喋らないの？無事なんでしょう？また笑顔で「ギョンス」って呼んでくれるんでしょう？

医者「あの事故の衝撃で即死状態だった。」

なんで？どうして？父さんと母さんは何も悪い事してないのに。なんで、僕だけ置いていっちゃうの？
頭の中が混乱して整理がつかない。ただ分かるのはもう父さんと母さんの笑顔に会えない事と三人仲良く笑い合えない事だ。