45 ページ46
.
……やばい。
私がいるってこと、ばれたよね……？
姿を見せない、っていう宣言も、破ってしまった。
……逃げよう。
さっと目をそらして、振り返った瞬間に走り出す。
Aさん、という誰かの声が聞こえた気がしたけど、そんなのはお構い無し。
今は、ここから離れたほうがいい。
……私の心が、そう告げていた。
.
美しい庭園を抜け出して、駐車場まで走ってきた。
……ここなら、誰も来ない。
私としたことが……花を見つけると、ついつい我を忘れ、周りを忘れてしまう。
とっても素敵な庭園だったから、もう少しいたかったな……
それも、自分の不注意でできなくしてしまった。
……仕方ない。今日はもう、帰ろうか。
そう思って、下を向いたとき。
「Aさん！」
ぱっ、と反射的に振り向いてしまった。
けれど、時、すでに遅し。
「なんで……」
こんな所にいていいはずのない5人が、すぐそこに立っていた。
私のほうに向かって、どんどん近づいてくる。
私は、驚きすぎて、言葉も出ないし、身体も動かなくなってしまった。
……なんで、ここにいるの？
なんで、追いかけてきたの？
……私のことなんて、放っておいて。
……咎められるくらいなら、無視された方がまだましだ。
もう、5人の口から冷たい言葉が飛び出すのは、聞きたくなかった。
……本当は、心優しいということに、気がついてしまったから。
どうしても、私に接する時だけ、全員がマスクを被っているように見えてしまう。
みんなに見せる顔がホンモノで、私に向ける顔は……
……きっと、ニセモノだ。
5人が、私のすぐ近くまで来て、止まった。
……何か言われる前に、私から言って、もうやめよう。
心の傷が、増えてしまう前に。
「……ごめんなさい。もう、ここから消えますから……もう、私には構わないでください。本当に、ごめんなさ……」
「そんなこと、言わないでよ」
……え？
今、何て……
勝手に、目から涙が零れる。
今、誰が……
顔を上げられないでいると、突然、手を掴まれた。
「……俺らが悪かった。つらい思いさせて……ごめん」
ゆっくりと顔を上げてみると、泣きそうな顔をした、大野さんだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 344人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なの(プロフ) - なるちゃんさん» ありがとうございます！！移行しましたので、そちらでもよろしくお願いします〜！！ (2018年10月15日 20時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - 続きが気になる〜〜！更新待ってます！ (2018年10月15日 15時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - キル・ハーヴェイさん» 嬉しいコメント、本当にありがとうございます！これからも応援よろしくお願いします！ (2018年10月4日 18時) (レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
キル・ハーヴェイ - 凄く面白いです！引き込まれてしまいました^^更新、頑張って下さい！ (2018年10月3日 21時) (レス) id: ae1f844f76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なの | 作成日時：2018年8月31日 0時
