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「......おい、朝比奈、大丈夫か？」
ぐっ、と松本先生が私に寄る。
ちょっとごめんね、って言ってから、私の額に先生のひんやりとした手が当てられた。
そしてその手が触れた瞬間に、先生の目が大きく見開かれる。
「朝比奈、すげぇ熱あるじゃん」
......熱？
若干のタイムラグの後、私はその言葉の意味を理解した。
それと同時に、みことたちが駆け寄ってくる。
「A！大丈夫！？」
「無理しないほうがいいんじゃ......」
口々に心配の言葉を掛けてくれているのは分かったのだけど、今の私は、とても返事が出来る状態じゃない。
先生のその単語を聞いてから、より一層身体が怠く、熱を帯びてきたのがわかった。
「今日は無理しないで帰ったほうがいい。誰か手の空いてる先生に送ってもらうようにするから」
お母さんにこの雨の中迎えに来てもらうのは危ないということで、誰か先生が家まで送ってくれることになった。
松本先生は、事務室に行ってくるから少しだけ待っていてと告げて、教室から出て行った。
ぐったりと突っ伏したまま、薄目を開けてみる。
四肢は全く動く気配が無く、まるで蝋人形みたいに力が入らない。
みことたちの心配そうな眼差しが、私に注がれる。
何も声を掛けてこないのは、今の私にとってはありがたかった。
それをきっと、彼女たちはわかっていたのだろう。
しばらくして、松本先生が戻ってきた。
「二宮先生に送ってもらうことにしたから。朝比奈、帰る準備して」
......え、よりによって二宮先生。
松本先生の後から現れた先生は、スーツのジャケットをきっちりと着ていた。
今日も、かっこいいな。
ふと、そう思った。
先生が来た瞬間から、鼓動がより速まって、熱が上がりそう。
なのに、私の身体は起き上がる素振りを見せず、むしろ動きを止めててしまった時計のように、1ミリたりとも動かない。
これじゃ、移動もできないよな......
そうぼんやりと考えた時、私の身体が、ふわりと浮き上がったのを感じた。
「え......」
「さ、ちゃんとつかまってて」
綺麗な二宮先生の横顔が、急に男らしく見えて、少しドキドキしてきた。
そこでようやく、私は先生に所謂『お姫様抱っこ』をされていることに気がついた。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
