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「あれ、ニノまだいたの？」
声の先には、リュックサックに荷物を入れる大野先生がいた。
「これから朝比奈の添削だからね」
「そっか。ここにいる奴らももう帰るらしいから、戸締まりよろしく」
いつになくニコニコとして、心底嬉しそうに言う。
やっぱり、早く帰れれば帰れるほど、嬉しいよね。私だって、学校が早く終わる日は気分がいい。
「はいはい。わかったから出るなら出なさいよ」
じゃ、わりぃね！って右手を上げ、天使な先生は軽やかに扉を出ていった。
それに続いて、残っていた生徒たちもぞろぞろと出ていく。
ぱたん、と扉が閉まったのを見届けて、二宮先生は振り返った。
「さ、始めようか」
「やっぱりよく書けてるね。ほぼオッケー」
「ほぼってことは、どこか直すところがあるってことですか？」
「そうだなあ......」
本当に二人しかいない。
いつもより静かな教室。左隣には、大好きな先生。
......もしかすると、これは夢ではないか？
あまりにも幸せすぎる状況に、頭がうまく回らない。
先生は左利きだから、書き込みをするときに、少し距離が縮まる。
その度にドキドキしてしまう。
「朝比奈は、設問に対して的確に答えることはできてる」
「はい」
「でも、ちょっとだけ、遠回りな表現になってる気がする」
「はあ」
「ほんのちょっとだけね。日本史の知識ってか、国語力の問題かな」
自分でもそう思わない？
そんな眼差しで、大きな瞳を向けられる。
「そう......かもしれないですね」
いや、その通りだ。
現国や英語のテストでも、記述で余計なことを書いてしまって、文字数制限ぎりぎりになったりとか。
......普通の会話でも、オブラートに包んだ言い方とか、まわりくどい言い方をしてしまう。
それは自分でもわかっていた。
二宮先生は、こちらを見たまま続ける。
「ほら、例えばね。大好きな人に、好きだという気持ちを伝えるとするでしょ」
......大好きな人。
一層、鼓動が加速する。
だって、目の前にいるのに、その上に乗せられる言葉。
頭の回転がもっとゆっくりになっていく。
「その時に、遠回しに言われても、相手は気付いてくれるかな」
......気付いてくれないよ。
そうでしょ、先生。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
