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先生は、私だけの先生じゃない。
たくさんの生徒が慕い、教えを乞う。
その中の一人である私にも、先生は平等に情熱を注いでくれているんだ。
そう考えると、目をかけられていることだけで十分幸せなはずだ。
なのに、私の心は欲張りで、足りないと言ってくる。
......それは、二宮先生がどうしようもなく好きだからなわけで。
忘れようと思ったって、二週に一回は会うし、気持ちがそうそう変わるわけがない。
今の私にとっては到底無理な話だった。
「みこと、先帰ってていいよ」
「え、でも......」
いつもなら、どちらかが添削でも二人で帰る。
だけど、今日は終わりが何時になるかわからないし、第一にみことは明日から学校だ。
「明日から学校でしょ。しかもテスト」
「うっ、その話をしないで......わかった、先に帰るよ」
やれやれ、といった雰囲気で、みことは微笑んだ。
私は、挨拶を交わして、彼女が教室から出ていくのを見送った。
「......遅いなあ」
小声で呟いてみる。
みことを送ったあと、自習室に移動して、二宮先生の来るのを待っていた。
自習室には2、3人くらいいたけど、みんな帰るか添削へ行ってしまった。
移動してきてから小一時間が経とうとしている。
けれど、一向に誰も来る気配はない。
......もう帰ってしまおうか。
一回、そんな考えも浮かんだけれど、すぐに首を横に振る。
先生は日本史の話になると、ついつい饒舌になってしまうのは知っていた。
......きっと今も、情熱を持って指導してる。
私にも、同じだけの熱量で向き合ってくれるはずだから。
そう自分に言い聞かせて、勉強を続けている時だった。
「......朝比奈」
ふっ、と顔を上げた先には、焦った表情の二宮先生がいた。
「ごめん、こんなに待たせて」
「いえ、大丈夫ですよ。
きっと先生のことだから、お話が楽しくなっちゃ
ったんでしょう？」
「よくわかってらっしゃる」
眉尻を下げて、クスッと笑う先生。
私は、先生の笑った顔が好きなんだなあ、って改めて感じる。
「じゃあ、行こうか」
自習室のある2階から、指導用の教室がある1階へと移動する。
1階では、生徒と先生が合わせて4人くらいしかいなかった。
しかも、皆が帰ろうと準備をしているところだった。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
