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私にとっての先生は、先生にとっての美術品のようなものなのかもしれない。
手に届かない、未知の世界。
決して知ることのできない、一生かかっても解読できない、謎解きと宝石。
そんなふうに思えた。
どれだけ時間が経とうが掛かろうが、私には無理なんだろうな。
だけど、そう思えば思うほど、想いが強くなっていくのは何故なんだろう。
どうしても諦めがつかないのは、私のダメなところなのかな。
そうこうしている間に、あっという間に卒業を迎えてしまうんだ。
『さよなら』
そう、指の隙間から砂が零れていくように、儚く笑う先生が容易に想像出来てしまう。
......ただ怖いだけなんだろう。
この、今の人生で最もキラキラと輝いている時間が終わってしまうのが。
私の周りから、今しかない煌めきと光が、静かに、穏やかに消えてしまうのが。
私の大好きな笑顔で、どんどん遠くなっていく先生は、とても儚くて、美しい。
✻
夏休みもどんどん過ぎて、あっという間に夏期講習もラストスパート。
教える先生たちは、日が過ぎるにつれて、どんどんその声は熱を帯びていった。
個人で記述を徹底的に見てもらったり、どんな質問に対しても、同じかそれ以上の熱量で対応してくれたり。
二次試験対策として、日本史や国語の記述は重要だ。
センター試験はマーク式だから、記述や語句解答は選ぶ形になる。
でも、文意を読み取る力や理解する力をつけるために、文を書く練習をする、っていう目的もある。
「お、朝比奈さんいらっしゃい」
「お願いします」
というわけで、今日は講習が終わったあとに、大野先生に国語の記述対策をしてもらうことになっていた。
二人で横並びに座って、事前にやってきたものを添削してもらう。
「非常に良い出来だね。流石朝比奈さんだ」
「ありがとうございます」
「だけど、とっても重要なこの尊敬の助動詞見落としたでしょ」
「......あ」
「ふふ、ここだけね、気をつけて」
大野先生といると、すごくほのぼのする。
言ったら怒られそうなんだけど、おじいちゃんと一緒にいる、みたいな感覚。
何故か懐かしくて、ゆったりできる感じ。
だから自然と、表情も緩くなる。
大野先生も、とっても柔らかく笑う。
私は、その顔が癒しでしかない。
年上なのに、可愛いんですが......先生？
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
