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今日から、補習がなくなる。
早いもので、夏休みも半分を過ぎようというところ。
だから、今日からは、朝から夕方まで、みっちり塾だ。
そのおかげで、先生たちともたくさん会えるから、それが楽しみ。
社会科と理科も、本格的に講習が始まる。
すなわち、二宮先生にも、会えるってことだ。
「......あら、朝比奈さん。早いじゃん」
「あ、おはようございます。いつもより1本早い電車に乗れたので」
そう。今日は、待ちに待った日本史の講習。
まだネクタイを締めていない先生が、こっちを振り返って言った。
......もちろん電車に乗る時間を早めたのは、意図的だけど。
「それにしてもずいぶんと早いね。......まあ、これくらい早起きの方がいいよ。俺みたいに、休日はずっと家にこもってるよりかは」
「え、ずっと家にいるんですか？」
「うん、ゲームしてんの。ずっとね」
部屋着で黙々とゲームをする先生の姿が目に浮かんで、ついつい笑みがこぼれる。
そんな私を見て、先生も眉尻を下げて困ったように微笑んだ。
小さな幸せが、心の中を占めていく。
それはやがて、私を支える幸福になる。
授業中も、休み時間も、ずっと終わらなければいいのにって考えてしまう。
だけど、受験が終わらないのは何だかんだで困るし、一生高校生は、普通に考えなくても、無理だ。
それでも、先生がすぐそばで、どんなことでもいいから話しているのが、この上ない私の幸せだと気づけた。
先生が、私の人生を変えてくれたんだ。
周りが、きらきらして見えるのは、先生に逢えたから。
「じゃあ、一気にやってくよ。今日からは江戸。徳川将軍は15代まで暗記ね。あと、文化史は広いから計画的に確認していくこと」
夏期講習前までに凄まじい勢いで進んでいって、やっとのことで江戸時代。
時間が無いから、先生は早口で喋るんだけど、それがむしろ心地良いくらい。
板書もスピーディで、くるくると内容が変わっていく。
「関ヶ原は言うまでもないからいいよね。両軍の人員は完全に暗記しないと後々痛いよ。あと、誰が五奉行なのか、五大老なのかもきちんと把握しておくこと。3年になっても間違えるやつは間違えるから」
復習は、割とさらっと過ぎていく。
本当に大事なところはしっかり確認するけれど、全て頭に入っているという前提の上で、授業を進めていく。
それが、二宮先生の日本史だ。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
