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「櫻井先生に彼氏いるか聞かれた時、どうして二宮先生が好き、って言わなかったの？」
「......え、それはまあ、言うと何か言われるかなあ、って」
「そうか......まあそれが普通だわ。私が変わってるのかな？」
突然どうしたんだろう。
彼女の心に、何かがあったんだろうか。
「みこと......何か、あった？」
「......いや、ね。先生を好きになる、って、苦しいなあ、と思って」
いつになく、思いつめたような顔。
今日のみことは、何かがおかしい。
「うん......私も、同じだな」
「そうだよね。生徒が先生を好きになっても、所詮は師弟関係なわけでしょ。そこから恋愛に発展するのって、どれ位の確率なんだろう」
はあ、って、反対側の窓の奥を見つめて、ため息をついた彼女。
何だか私まで、考えてしまう。
いや、自然な流れなのか。
「先生と生徒の組み合わせで結婚する人たちも、世の中にはいないわけじゃないらしいよ。でも、確率とすれば相当低いだろうね」
「だよね。だってさ、考えてもみると、少なくとも日本人は、産まれたら必ずといっていいほど、誰かしらの生徒とか、教え子になるわけじゃん。でも、先生になる人の人数なんて、限られてるんだよ」
「確かに......生徒の人口に対しての比率で考えると、講師や教師になる人口は、そりゃあ少ないよね」
義務教育やらのおかげで、私たちは『生徒』となることができる。
でも、何にせよ先生というのは、生徒にとっては目上の存在。
そして、1人の先生に対する生徒数は、膨大だ。
学校の教師だったなら、毎日のように会い、行事や部活でさらに近づくことができる。
担任も持っていれば、より関係は親密になれる。
それと比べると塾講師というのは、週に何回か顔を合わせ、そして、私のように受験期だけなら、たった1年間の関係。
たったそれだけの、短い間で、何が生まれ、何を変えられるというのか。
何もできない。それが普通だろう。
こんな子どもごときに、振り返ってもくれないだろう。
でも、それでもいい。
忘れられなければ、忘れなくていい。
内に秘めたままで。
大事にしておけばいいんだよね。
「でも......先生だからって、諦めなくちゃいけない、なんていう決まりは無いもんね。A、私、諦めないよ」
「うん。私も、頑張る」
にこっ、と彼女の見せたその笑顔は、可憐な花のように儚かったけれど、力強さを秘めているようにも見えた。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
