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「じゃあ藍沢は彼氏いないのか」
「そうですね、残念でした」
半ば投げやりに言う彼女。
周りの子たちと一緒に笑ってる。
先生もしばらく笑っていたけど、急に大人の顔になって、私の方を向いた。
「じゃあ、朝比奈は？」
「......え？」
「彼氏。いないの？」
......何で私。他に聞く人いるでしょ、先生。
まあ、みことの隣だし、一番前の席だから、近くで聞きやすい、っていうのはあるんだろうけどさ。
それにしても......
「いないですよ。いたことありません」
努めて平静を装って返す。
だけど、心の中ではドキドキしっぱなし。
そんなこと、友達以外から聞かれたことがない。
「でも、好きな人くらいはいるでしょ、華の女子高生なんだからさ」
尚も疑わしそうな目を、逸らすことなく向けてくる櫻井先生。
......う、視線が刺さります。
なんにもしてないはずなのに、謎の罪悪感。
「周りにいい人がいないんですよ」
精一杯の笑顔を見せて言うと、先生はまた、含みを持った笑みをその瞳に浮かべた。
「それはかわいそうに」
さ、再開するよ、って、何事も無かったかのようにテキストを開いて、黒板に向かう。
何故か、私一人だけが取り残されたような気分に襲われた。
「みこと、なんで櫻井先生に彼女いるって聞いたの？」
「え、だって気になるでしょ」
帰りの電車内。
少し日も暮れかかって、だんだん過ごしやすい時間帯になってきた。
さらに、電車は冷房が効いていて、夏休みだからかいつもより人が少ない。
ちょうど二人分空いた席を見つけて、そこに座った。
「Aも気にならなかった？だって、あんなにかっこよかったら、彼女の一人や二人いてもおかしくないよ」
「まあ確かに。でも、絶対あれ冗談だよね」
「うーん。まあ、はなから期待はしてなかったけどね」
あはは、って二人で小さく笑った。
なんだ、どうせだから、ってことね。
櫻井先生はきっと真面目なんだろう。
でも、モテることについては、しっかり自覚してる。
それもそうだ。
あれでいて、自覚してない方がどうかしてるよ。
「ね、A」
「ん？」
みことが、珍しく真顔になって、心なしか俯いて言った。
今日のみことが、何だからしくない気がするのは、ただの気のせいなのかな。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
