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先生は大きな段ボール箱を持ったまま、教室へと向かう。
今日は、大野先生、松本先生、櫻井先生がここにいる。
相葉先生と二宮先生は、別会場で講習とのこと。
二宮先生がいたら、日本史の論述を見てもらおうと思ったんだけど、今日は都合が合わなかった。
だから、松本先生に化学を見てもらうことにした。
段ボールを部屋に置いて、先生と隣り合わせになって座る。
「じゃあ、始めるよ」
「......そ、これはこの式を用いるでしょ......そうそう。わかってんじゃん、大丈夫だよ」
「よかった、ありがとうございます」
「いえいえ。ほんと、よくやってるね。文系はどうしても理科や数学を嫌がるのに」
「はい。でも私、理科好きですよ。まあ、化学よりは地学ですけど」
そう言うと、先生はくすりと笑った。
つられて、私も頬が緩む。
「そうか、それなら心配ないね。ま、朝比奈の場合は目指してるのが文系だもんな」
「はい」
......目指すもの。
私が、この学校に来て、文系を選んだ理由。
高2のとき、行きたい学部を絞らなければならなかった。
その時既に、文系を選択していた私は、文系の学部を選ばざるを得ないのだけれど。
でも、もう行き先は決まってた。
『歴史学部』
中学がつまらなさすぎて、『さっさと卒業したい』って思っていた私にとっては、高校は夢みたいな楽しい場所だった。
自分の考えをわかってくれて、どんな話題を提供しようとも、きちんと理解して話に乗ってきてくれる。
そんな人たちが、自分とレベルアップのために高めあえる人たちが、集まった学校。
勉強の話が必然的に多くなっていたけれど、それでも楽しかった。
特に、私が好きなのは、歴史や社会に関する話題。
政治や国際情勢の話に詳しい子や、三国志がめちゃめちゃ分かる人の話を聞いているだけで、自分の興味がどんどん広がっていった。
文理選択のとき、理系に引っ張られてはいたものの、『歴史を勉強したい！』っていう強い想いから、文系を選択した。
高一で世界史、高二で日本史を取った私は、歴史学の楽しさにどんどん目覚めていった。
大学を決めてから、就職のことまで考えていると、自ずとやりたいことが絞られていくことに気がついた。
理系はやっぱり数学や理科に時間を取られがちだけど、文系なら社会科に時間を割ける。
その点もあって、文系講座でゆったりと歴史を勉強して来れた。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
