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文化祭のあと、1週間もすれば夏休みに入る。
でも、うちの学校は『補習』という名の
『強制授業』がある。
まあただ、唯一の救いとするなら、午前中で終わるということだ。
でも、3年生は2週間これが続く。
そして、私も含め、ほとんどの人が塾や予備校に通っているから、もはや休みだなんて言ってられない。
いや、夏休みは休むものだ、とかいう人がいたら是非お目にかかりたい。
うちの学校は、地元でもかなりハイレベルな進学校だから、1、2年生もここで怠けると、完全に置いていかれる。
3年生は、2学期からもう試験が始まる人もいる。
この夏休みにスパートをかけないと、はっきり言って間に合わない。
まあ、今から意識し始めても、1年の頃からずっと本気で勉強してきた私からしたら、既に置いてきぼりだと思うけど。
中学3年の春から、私に「休み」という概念はほぼない。
ひたすら勉強に明け暮れる日々。
プライドが高く、目標も高かった私。
いつのテストでも上位に入ることだけが、私のアイデンティティと化していた。
春の模試は、本当に悔しかった。
でも、あそこであの順位を取っていなかったら、私はこの塾には行っていなかったはずだ。
「予習チェックするよー」
伸びるような大野先生の声で、みんなが席に着く。
『大野』の判子を持った先生が、順々にみんなの机を回って、ノートを見ていく。
夏期講習は、古典で始まった。
「じゃあ、朝比奈、問3答えて」
「『いじらしい様子でお慕い申し上げているようだったが』ですか｣
「うん、美しい訳だね」
ふう、と思わずため息をつく。
午前中の授業が終わって、学校から直行すると、すぐに講習が始まる。
こんなハードな日々は、初めてかもしれないっていうくらい、疲れていた。
でも、塾に来ればみことたちや先生たちに会える。
それだけが、心の拠り所だ。
講習会は午後の3時間だけど、その後先生に質問すれば、個人的に教えてもらうこともできる。
今日は古典と現代文の国語の日だったから、大野先生は忙しそう。
ほかの先生がいる時は、先生の承諾さえもらえれば、同じように指導を受けられる。
「松本先生！」
「お、勉強熱心な朝比奈サン。何かご用みたいだね」
くるっ、と振り向いた先生は、少し茶色く染まった髪の毛を気にしながら、にこやかに笑いかけた。
「あの、化学でちょっとわからないところがあって......」
「うん、いいよ。自習室においで｣
もっと優しく、微笑んだ。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
