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すると先生は、しばらくたった後に、徐ろに口を開いた。
「これ、恋の歌、だよね」
「え......ああ、そうですね」
......え？先生が、この歌の意味を捉えている？
ちょっと、混乱する。
ばれないかな、なんて思って、書いたんだけど。
「素敵だね。朝比奈に、ぴったりだよ」
「......え？」
「何かを秘める強さと、繊細さ、そして、真っ直ぐに何かを思う気持ち。俺から見る君は、まさにこの歌だな」
そう、和歌に対してしっかりと目を向けてる。
......まあね、そりゃ、先生だもの。
しかも日本史の先生。
和歌なんて、百人一首くらいなんて、御茶の子さいさいだよね。
むしろ、知らない方が変か。
それでも先生の言葉にびっくりしすぎて、しばらく口がきけないでいた。
「......ありがとうございます」
「俺が見たかったのは、君の字だったんだね。ずっと、会ってみたかった」
「え......」
先生の言っている意味がすぐには理解出来なくて、なんだか間抜けな声が出た。
「ほら、大野さんとかから聞いてない？俺が2年前からお気に入りの子がいるって話」
「......あ」
「ふふ、思いだした？」
やっぱりいたずらっ子のような、少年のような表情で笑う。
若干目を細めて、口元をニヤリと上げる。
でも、全然嫌味じゃない、可愛らしい顔。
「何故か、朝比奈の字には心惹かれる何かがあるんだよ。きっと、性格がそのまま出てるんだろうね」
「性格、ですか」
「ほら、たまに無理したり、強がりな感じ？でも、自然で、他人を安心させる」
「......」
「決して作っているわけじゃあないけど、どこかミステリアスな」
すらすらと出てくる。
先生が私をそんなふうに見ていた、ってことだよね。
そこで、一つの疑問が浮かぶ。
「......それってやっぱり、私何だか変な人、ってことですよね？」
「俺が言うのもなんだけど......まあ言っちゃうとそうかも」
はは、って夏なのに真っ白な手で、口元を押さえた。
先生、自分で言っておいて自分でツボったらしく、しばらくお腹を抱えていた。
少したって、まだ何故かツボから外れない先生に、チクリと攻撃してみる。
「ちょっと、笑いすぎじゃないですか！」
「ふふ、でも、頭良い人は変人が多い、っていうじゃない？」
「......」
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
