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「これ、朝比奈が書いたの？」
「はい、智永という人の、真草千字文です」
「すごいなあ......よくこんなの書けるよ」
大野先生が、心底感心したように言ってくれた。
ただ、単純に嬉しい。
変な言葉で飾るよりも、正直な、シンプルな言葉で伝えたほうが、気持ちってわかる気がする。
「うん、俺こんなん途中で諦めそう」
櫻井先生が、相葉先生に向かって、ねえ？って同意を求めた。
それに対して、うんうん、って大きく頷く。
「朝比奈は真面目なんだね。自ら大変な道を選んだ。でも、それを最後までやりきることが、偉いよ」
松本先生が、天使のようにふわりと微笑んだ。
思わず、目を伏せる。
なんだか恥ずかしくって、真っ直ぐ顔が見られないんだけど！
「あ、これは......藤原実方の歌だね」
和歌の方に目を移した大野先生が、さらりと言った。さすが、国語講師。
「ねえ、なんて書いてあるの？」
相葉先生が、大野先生に問う。
先生は、何かを考える素振りもなく、すらすらと言った。
「こんなにもあなたを想い慕う気持ちも言えず、伊吹山のさしも草のように、私の恋心は燃えています。そんな私の気持ちも、あなたは知らないのでしょうけれど」
ね、合ってるでしょ？
って、私に目配せした先生。
はい、って小さな声で呟いた。
「なるほどねぇ......なんでこれ選んだの？」
松本先生が、大きく、透き通るような瞳をこちらに向けた。
「そうですね......今と昔の恋って、違うようで同じだと思うんです。想いを伝えたいのにできない。そんなもどかしさが、何かと似ている気がしたんです」
「それは経験談かな？」
「違いますよ！」
じょーだんじょーだん、ってケラケラ笑う櫻井先生。
......私の違うってのも、嘘だけど。
「素敵だね。やっぱり女の子は違うなー」
相葉先生が、心底感心したように言って、細いのに筋肉質な腕を組んだ。
ワイシャツの袖が肘くらいまで捲りあげられていて、少しドキッとしてしまう。
「ま、ニノはあとから来るよ。朝比奈の作品見るの、楽しみにしてるみたいだったからね」
にか、って笑ったその表情は、本当に太陽のよう。
こりゃ、相葉先生のモテるわけだ。
こんな笑みを学校中で振りまかれると想像すると、肩が勝手にビクッと震えた。
......そのへんの男子も惚れるな、これは。
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なの(プロフ) - たぴおか。さん» たぴおか。さん、初めまして！嬉しいお言葉、本当に励みになります！ゆっくり更新となりますが、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年2月12日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
たぴおか。(プロフ) - はじめまして ！コメント 失礼します 。最近 読み始めたのですが 、とっても好きになりました ！！ これからも更新 待ってます ！ (2018年2月11日 11時) (レス) id: 7c7e156c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2016年7月13日 20時
