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なんだかんだで1時間ほど居酒屋に居座って、ようやく店を出た頃には、外ではちらちらと雪が舞っていた。
｢ホワイトクリスマスだね｣
まだ人の往来が多い通りを行きながら、彼女が呟く。
俺は、うん、と返事をして、彼女の手を引いて行く。
どこへ行くの、という問いかけに、秘密、とだけ答え続けて、暫くの間歩いた。
イルミネーションで飾られた街は、歩いているだけでも気分を高揚させてくれる。
｢ふふ、翔さん、今日なんだか楽しそう｣
｢そう？……今日だけじゃなくて、Aといる時はいつでも楽しいけどな｣
……傍から見れば、立派なバカップルと思われるかもしれない。
それでもまあ、仕方ない。
こんなことを平気で言い合えるくらいには、彼女のことが愛おしいし、大好きなのだから。
｢私も……楽しいよ。こうやって手繋いで、翔さんと歩いてるだけで楽しい｣
そう言って、繋いだ手を子どものように振りながら、無邪気に笑う。
……この笑顔を、ずっと見ていたい。
仕事の時に見せる真剣な眼差しも好きだけど、俺だけに見せてくれる、弾けるような表情も、好き。
……俺、Aのこと、本当に好きなんだな。
そんなの、初めからわかりきっていることだけれど、改めて自覚した。
彼女も、俺のことを同じくらい大切に想ってくれている。
言葉で、仕種で、行動で、それを伝えてくれるから。
……大人しいけれど、真っ直ぐで素直な彼女は、とてつもなく大きな愛を、俺だけに捧げてくれるんだ。
だから、俺も負けないくらいの想いを、真っ直ぐに伝えなくちゃ。
｢……ほら、見て｣
｢わあ……とっても、綺麗｣
柄じゃないかもしれないけど、たまにはベタなことをしてみたいものだ。
俺らが向かう目の前には、とても大きな、イルミネーションで飾られたクリスマスツリーがあった。
……俺にとっては、瞳をきらきらと輝かせている彼女の横顔の方が、はるかに魅力的なのだけれど。
そんなことを言うと、また、『何言ってるの』って、笑われてしまうだろう。
でも、ここへ彼女を連れてくることが出来たことが、本当に嬉しかった。
……こんな表情が見られるだけで、俺は幸せなんだから。
ツリーの近くまで来ると、その大きさに驚く。
10メートルはあるのではないかというくらい、大きく聳えている。
彼女がそちらに気を取られているうちに、俺は鞄からある物を取り出した。
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作者名：なの | 作成日時：2019年12月21日 0時
