嘘と花束【ARS】 Part4 (ページ44)

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それからの日々は、今まで通りに振る舞うように意識していた。
5人一緒の仕事の時も……

｢Aー」

｢はい？」

「明後日の午後って、スケジュールどうなってたっけ」

「えっと、松本さんは……大野さんと、雑誌の撮影ですね」

「あー、そうだった。ありがとう」

いつもの様に、楽屋に一緒にいて、なんてことない会話をする。
でも、今までと少し違うのは……

にっこりと微笑んだ松本さん。
他の4人もいるのに、私の頭の上に、ぽん、と大きな手を乗せた。

……その笑顔が純粋すぎるが故に、直視できない。
お出かけに連れて行ってもらってからというもの、松本さんは、やっぱり距離感が近くなったような気がした。

そして、それと同時に、私に向いている視線の数も増えたような……

「A、ちょっといい？」

すると、松本さんの後ろの方から、声が聞こえた。
部屋の奥を見やってみると、今度は櫻井さんが、手招きをしていた。

それを見た松本さんは、私の頭から手を下ろして、行くように促してくれる。

……松本さんが櫻井さんのことに気がついているかは、まだわからない。
でも、きっと、疑ってはいるんだろう。

……だって、櫻井さんの方を見る時、少しだけ、目の色が変わる気がしたから。
私の思い込みかもしれないけれど、哀しげで、それでいて燃えるような、光が宿るような気がしたから。

そんな瞳をした松本さんの元から離れて、櫻井さんのところへ行くと、隣の椅子に座るように促された。

「この資料、チェックしてもらいたいんだけど、いいかな？」

「はい、拝見します」

……最近、どんな小さなことでも、任せてもらえることが多くなってきた。
こんなふうに、櫻井さんの取材用の資料とか、原稿とかに目を通して、おこがましいと思いながらも、感想や意見を言わせてもらうことも増えた。

……それは大抵、5人でいる時が多い。
そして、私が資料に目を通している間、他のメンバーの視線が、かなり感じられる。

……特に、二宮さん。
スマホやゲーム機に向けていたはずの目が、ふと私の方へ向いているのに、気がつく。

やっぱりその視線が気になって、ちらり、と一瞬だけ目をやってみると、ばっちり目が合うこともしばしば。

そして……

事情を知らないはずの大野さんや相葉さんも、こんな3人の空気に、何も感じていないはずがなかった。

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