嘘と花束【ARS】 Part4 (ページ40)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:154,782 hit

175 ページ40

.

松本さんからもらった、一日限りの休暇。
それでも、今まで休みという休みがなかった私にとっては、とっても有意義な時間になった。

車から降ろしてもらって、家に戻ると、着替えてすぐに寝てしまった。
ふと目が覚めた時には、時計の針は8時半を指していた。

……久々かも。
普段は朝から仕事に行くことが多いし、遅くとも7時には起きないと間に合わない。
だから、8時半に起きるなんて、かなり久しぶりな感じがした。

今日は、松本さんもオフの日。
だから昨日、あの時間まで私をお出かけに連れて行ってくれたのかな。
そう考えると、思わず笑みが零れてしまう。

……そして、昨日松本さんに言われたことや、されたことが、どうしても脳裏に浮かんでしまう。
夢のようで、それでいてあまりに現実的で。

……思い出すだけでも、胸が苦しくなる。

まさか、松本さんまで……
この短期間に、メンバー3人から想いを告げられるとは思いもしてなくて、ちょっとしたパニックに陥っていた。

しかも、櫻井さんと二宮さんは互いに知ってるはずだし、松本さんは二宮さんのことを知ってる。
……まさか、それがきっかけってことはないよね？

他のメンバーが私と距離感が近いことに気がついて、触発された……とか。

一瞬そう考えて、ぶんぶんと頭を横に振る。
……ダメだ。こんなこと考えちゃ。
3人とも、真剣だったのに、私が真剣に向き合わなくてどうするの。

でも……
出来すぎているような気もして、少し怖い。

告白されて、抱きしめられて、キスされて……
全部、私の妄想だったのかも、なんて思ってしまうほど、出来すぎている。

3人に対しては、できるだけ冷静に見せようと努力したけれど、やっぱりバレてるんだろうな……

冷静に振舞って、強がっていないと、本当に自制心を失ってしまいそうだった。

私の心は、新たな靄がかかったように、戸惑っていた。

それでも、折角のお休み。
久々に、ショッピングに行くことにした。

少し街の方まで電車で出ていって、賑わう人混みの中を歩くだけでも、楽しかった。
洋服も何着か買って、お洒落なカフェでランチも食べて、女子大生に戻った気分。

そんな気持ちの帰りの電車には、学校帰りなのか、高校生や大学生らしき人たちがたくさん乗っていた。

平日の夕方って、こんなに混んでたっけな……
座席は埋まっていて、立っている人もかなりいた。

.