嘘と花束【ARS】 Part4 (ページ24)

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沖縄から戻ってきて、数日が経った。
私の毎日は特に変わり映えしなくて、5人をひたすら見守っているだけ。
変わったことといえば、櫻井さん、二宮さんと、ぐっと距離が縮まったくらいだけど……

今日は、久々に5人揃っての収録。
全員と顔を合わせるのは、帰ってきた日以来かも。
それに、今日は……

松本さんが、お出かけに連れて行ってくれる日。
それに伴って、明日は休みだ。

収録は、午前中に一本、午後に一本だから、夕方には終わる。
出発は夜遅いから、私の家の近くまで迎えに来てくれるみたい。

……単純に、ワクワクしてた。
休みという休みも久しぶりだし、何より、松本さんが連れて行ってくれるところなんて、どんな場所なんだろう。

スタジオの様子を映し出すモニターを見ながら、そんなことを考えていた。

そして無事、午後の収録が終了した後、スタジオから戻ってくる5人と、前室で会った。

「みなさん、お疲れ様です」

「お疲れ様～」

私を見るなり、笑顔で手を振ってくれる5人。
数時間の収録の後にも関わらず、わいわい賑やかで、楽しそう。
その中に、こちらを見て、にっこりと微笑む松本さんを見つけた。

「……後で、ね」

すれ違いざま、そっと囁いた。
他の4人は気が付いていないのか、特にこちらを気にする様子もなく、楽屋へと戻って行った。

……今の松本さんの表情が、今までに見たことのないくらい、儚げだったのは……なぜなんだろう。
とっても柔らかくて、綺麗で……

思わず、ドキッとしてしまうくらいの表情。
一日かかった収録の疲れなのか、それとも、何か違う理由があるのか……

私に見せたその微笑みは、なぜこんなにも、心を締め付けるんだろう。
いつもと少し違う雰囲気を感じたのは、どうしてなんだろう。

……意識しすぎ、かな？

気付くと、今日一日中、自然と目で追っていたのは、松本さんだった。
もちろん、5人のことを等しく見ていたつもりではあるけど……

……なんか、私、単純かも。
今日松本さんと出かける、ってだけで、こんなふうになるなんて。
まるで、恋する乙女みたい……だよね？

そう考えると、頬が火照ってきたような気がした。

……ダメだ、ちゃんとマネージャーとして、冷静でいなくちゃ。
いちいちドキドキしたり、不安になったりしていたら、仕事に集中出来ないんだから。

……努めて、冷静に。それが、私のすべきことだ。

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