嘘と花束【ARS】 Part4 (ページ22)

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同じクルーザーで沖縄本島に戻った後、私たちは空港へと直行した。
……なんだかんだで、楽しかった。

仕事とはいえ、5人が楽しそうでなによりだった。
あの弾けるような笑顔を見た時、この瞬間のために、私はマネージャーという職業を選んだんだと、改めて思い出した。

その光景を、そばで見守れるだけでいいと、心から思える。
ただ、気がかりなのは……

「帰りは、俺の隣、ね？」

行きと同じように飛行機に乗り込んだんだけど、二宮さんが声をかけてきた。
私が拒否する理由なんてないから、いいんだけど……

なぜか、いろんなところから視線が刺さっているような気がして、仕方なかった。
……私の気の所為でなければ、それは二人分。
ひとつは、間違いなく櫻井さんだ。

行きの櫻井さんと二宮さんの座席が入れ替わった形で、私は窓際、その隣に二宮さん、通路をはさんで隣が、櫻井さんだった。
……ときどき、ちらり、とこちらを一瞥する。
そして、何事も無かったかのように、眠ることを繰り返していた。

二宮さんは気が付いていないのか、それか全く気にしていないかで、ゲームをしたり、私に話しかけたりしていた。
その度に、私はドキドキしていたのだけど……

その鼓動の高鳴りが、昨日のことを思い出してのものなのか、刺さる視線に対してのものなのかは、自分でもわからなかった。
でも……

確かに、感じる。
櫻井さんだけではなく、他の誰かが、見ていることを。

通路の向こう側から、強い視線を感じるけれど、それが誰なのか、はたまた私の気の所為なのか、確かめる術はなかった。

……でも、島から戻る時から、ずっとだ。
誰かに、見られているような感覚。
私の神経が過敏になっているだけなのかな。

帰りの飛行機では、やっぱりみんながお疲れだった様子で、マネージャーさんたちや、メンバーも、寝ている人が多かった。
あちこちから寝息が聞こえてくる度に、感じた視線は、薄れていった。

比較的静かな機内で、約3時間弱のフライトを過ごした。
隣の二宮さんもいつの間にか穏やかな眠りに落ちている。

……私も、昨日あまり熟睡出来なかったせいか、気が付いたら意識を手放していた。

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