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そして、公開初日はすぐにやってきた。
午前中、神奈川で撮影があった櫻井さんは、直行で映画館に行くことになっていたんだけど……
この日は櫻井さんにずっと付く予定だったから、午前中の撮影も見に行った。
お昼ご飯まで済ませると、舞台挨拶のために東京まで戻る時間になった。
「ねえ、A。ちょっと、俺に……付き合ってくれない？」
「……は、はい」
今日、櫻井さんのマネージャーさんは事務所の方に用があって、神奈川まで私たちを送った後、東京へとんぼ返りしていた。
こういうことは初めてだから、どうやって帰るんだろう。
それに、付き合う、って何に……？
様々な疑問を持ったまま、撮影現場を二人で離れる。
近くでタクシーに乗り込んで、櫻井さんが行き先を告げた。
そして、ラジオの流れる車内で、私の方へ少し顔を近づけて、話し始めた櫻井さん。
……ふわり、とどこか甘い香りが漂う。
「今日、電車で帰ろうと思って」
「……え？」
電車？
……いや、そんなはずない。
不特定多数の人が利用する電車に乗る、なんて。
絶対的に、騒ぎになるはず……
「一緒についてきてくれる？A」
「あの……騒ぎになったり、しないんですか」
「ふふ……それが意外とね。みんな、この時代だから、スマホか本だよ｣
……そうか。電車に乗っている間、わざわざほかの人のことなんか、見ないもんね。
確かに、みんな下を向いて、スマホの画面や本の紙面に目線を落としている。
でも……
「……そんな心配そうな顔、しないで」
相当顔に出ていたらしく、櫻井さんは優しく微笑んでくれた。
大丈夫だよ、って表情。
未だに、心配なところは残ってはいるけど……
信じよう。きっと、なんとかなる。
櫻井さんだって、バレるリスクを承知した上で、電車という選択をしているんだから。もし何かあれば、私が櫻井さんをガードしなくちゃ。
タクシーは、近くの駅前で停まった。
人も、ある程度いるような場所。
お昼時を過ぎて、外回りや休憩から戻る人たちが、足早に歩いていく。
「……さあ、行こうか」
……大丈夫。
ひとつ息をついて、開かれたドアの外へと出た。
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なの(プロフ) - Kenさん» Kenさん、初めまして！嬉しいコメントありがとうございます！！たくさん更新していけるよう頑張るので、応援よろしくお願いします('∀'*) (2018年12月19日 21時) (
レス) id: d783c00f36 (このIDを非表示/違反報告)
Ken(プロフ) - 初めまして。作品を見つけて一気に読んでしまいました 。続きが気になります。更新されるのを楽しみにしてます☆ (2018年12月18日 23時) (レス) id: 6597b5370f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2018年12月6日 19時
