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・ 横抱き(3) ページ5

中也の《異能力》『汚れつちまつた悲しみに…』は触れた物の重力を操ることができる。

さっき私が助けられたのも中也の異能力。

本当は私が上司を支えなきゃ何だけど…


「そんなのじゃない」


リイナは相変わらず斜め下を向いてそう呟く。
表情1つ変えない。

リイナの言葉に重ねるように
中也はダーツを彼女に一斉に投げた。

細かなダーツが
リイナに擦り傷を何度も作らせる。


「………ッ」


やっと表情を変えたかと思うと
またさっきのように無表情にもどった。

彼女の身体の所々から血が出ている。


「ちょ…中也……」


リイナに対しての不安や中也に抱えられる恥ずかしさに限界が来た私は彼の視線をこっちに向ける。

やっと声に気づいたその目には私が映っていた。


「私も…」



「その怪我は舐めて塞いでろ」


私の言葉に被せるかのように中也はいう。


私も補佐するって言いたかった…。


てか怪我……?


おそるおそる中也の目線の先。
脚に手をやると
少し湿ったものが私の指につく。

それを見ると……


私の真っ赤な血だった。

擦り傷だからまだ大丈夫だけど
どうやらさっきの弾丸が掠れたらしい。

てか…浮いてるから舐められないし。



「ちょっと痛かった」


そう言うとリイナは持っていた銃で
パンパンと私たちに2発撃つ。


カジノ内にいた客人たちは銃声が聞こえたと確信したようで悲鳴をあげて店内から飛び出す。


そこで私は妙な異変を感じたのだが───


「……っと、っと」


私を抱えながら中也は自分の重力を変えて
空中に浮きながら攻撃を全てかわす。


「わっ…わぁ…!」


ぐらぐらと視界が動き、私は落ちそうになる。


中也は呆れたようにして苦笑した。


「……ったく、俺の首に掴まっとけ」


少し抵抗があるも私は首に手を回す。


……絶対顔は真っ赤だ。


顔は上げらんないし、
恥ずかしいし、
近いし……


自分の上司に対して私は何考えてんだろうなんて気持ちになってしまう。


「太宰が言ってた。
マフィアの掟で『受けた攻撃はそれ以上にして返すこと』って。」


今度は胸元からもう1丁の銃を出し、
何度も何度も私たちに連射してきた。


「……ぐッ」


中也は私を庇うように1発片腕にくらった。


「………中也っ」


でも何も出来ないなんて役立たずでも無い。

私の異能は……

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設定タグ:太宰治 , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時

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