・ 芥川龍之介(5) ページ20
私の言葉を無視して芥川はまた『羅生門』を
背後から私の方へとむかわせる。
「……『月夜の浜辺』」
それが見えた私は呟き、
自分の異能で両手の力を強化させる。
そうして目の前にきた羅生門を
その手で止めた。
「………なっ」
そのまま私は羅生門を
芥川の方へ力いっぱい殴った。
羅生門は自分の主へと帰っていくも
その勢力は弱まらず芥川の周囲にまた
土煙を起こさせる原因となった。
大きな音を立て芥川の身体は壁へとまためり込む。
「これで充分?答えて。
首領に命令されたの?って聞いてるの」
私は芥川に1歩ずつ近づく。
「……ちが…がはっ……ゲホッ…」
砂煙の中の芥川は血を吐き出し、
激しく咳き込んだ。
「…違う?
なら、どうして……」
「アラナ、芥川は太宰に認められたくて
私を殺そうとした」
にこりと笑ってふと隣からリイナは言った。
「黙れ、黙れ…!
貴様に僕の何が分かる!?
僕の事も知らない貴様に何がッ───」
芥川はリイナの言葉に敏感に反応する。
「……知らないよ、じゃあ…
君には私の何がわかるの?」
リイナは笑顔を崩さずに
芥川に向かって笑いかけた。
「…………………」
その言葉を耳にした芥川は突如無言になり、私達への攻撃を辞めた。
「分からないのに……
自分ばかりが辛いとか、思わないでよ」
リイナは笑顔を貫いたままだ。
だけどきっと、その裏側では泣いている。
まるで、子供のように…泣きじゃくっているリイナの姿が私には見えてしまった。
少しの沈黙───
だが沈黙の時は芥川の背面にあるドアから入ってきた二人組によって破られる。
「あれ?まだ二人ともここに居たの?
……って、アラナもいる、
良かったじゃん中也〜探す手間省けて」
「おい、アラナ何してやがる。
……
太宰さんと中也だ。
この二人がいると芥川ももう私達の攻撃は出来ないだろう。
良かった……安心した。
「わかった、行く」
私は中也の元へ向かった。
「何やってたんだ?アラナ」
「…内緒。
そんな事より首領何て?」
「プリズナーの件だとよ。
潜入捜査をするみたいだぜ今度」
「潜入捜査…?」
マフィアに入ってからあまりこのような事をした事がなかった為私は分からなかった。
「まぁ詳しい事は首領に聞く。
…おい、太宰行くぞ……って……」
太宰さんの方に振り返った中也は少し目を見開く─
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時