2.依存 ページ15
2章、3章は
太宰✕リイナの話です
〜リイナ視点〜
………嫌い
大嫌い。
大嫌い大嫌い大嫌い。
「もういい。
今日はここまでだ」
太宰は冷たい目を彼に向ける。
ここは薄暗いマフィア内にある大きな倉庫。
「何故です太宰さん…僕(やつがれ)は…」
「今の君にはできないからだ。
それ以外の理由はない。」
パチンと太宰は指を鳴らした。
上からそれを見ていた私は太宰の隣に
飛び降りて太宰を笑顔で見た。
やっと、今日の彼の教育は終わったらしい。
「太宰、次は…」
「私の番?」と聞こうとした私に太宰は笑顔を向けながら言った。
「教えることは無いよ。
いつも通りにしてくれ」
───その笑顔にはさっき奴に向けた冷たい表情が薄っすらと感じ取れる。
そうして太宰は私たちの前から姿を消した。
「………」
私と奴は二人だけでこの場に取り残される。
そして私はいつも通りに奴の傷に触れて異能で治そうとした。
私の目の前の大嫌いなコイツは
全身真っ黒なコートを羽織っている。
目つきも鋭く、見るもの全てを見下すかのようだった。
奴の名前は、
『芥川龍之介』
マフィアの武闘派で太宰の部下だ。
そして私の部下でもある。
コイツが私は大嫌いだ。
あのカジノでの出来事があってから、私が太宰の隣にいる事はほとんど無くなった。
プリズナーの件がある筈なのに、太宰からはその言葉すらも私の前では発せられなくなっていた。
そうしてそれと入れ替わるように
太宰の隣にいつもいるのは芥川だ。
毎日毎日、太宰の気分や芥川の体調が悪くなるまでずっと太宰に教育してもらえる。
私はそれを教育が終わるまでずっと眺めていなければならなかった。
なぜなら太宰に呼ばれたら芥川の治療をしなくてはならない。
それはまだ良かった。
だが、太宰は私を呼ぶとすぐ何処かへ行ってしまう…。
そして太宰に呼ばれる事は1日の内にそれしかなく、あとは芥川が呼ばれる。
太宰の与える仕事は全て芥川の物で私は何にも与えてもらえなかった。
ただ私は二人を見ているだけ。
いつも太宰の隣にいるのは私だった。
その筈なのに。
今は芥川が1人、その場を独占している。
だから私は嫌でもこう感じてしまう。
───太宰に捨てられた。
だから嫌いだ。私の立場を奪ったこいつが。
太宰に捨てられたくない。
嫌だ。
どんな手を使ってでも
太宰の役に立つって決めたのに。
なぜなら───
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時