検索窓
今日:16 hit、昨日:12 hit、合計:26,631 hit

・ 太宰の過去(3) ページ32

そんな彼女のようすなんかよりもずっと、
僕は『うつくしいもの(彼女の異能)』に気を取られる。


近くで見るとなんて美しい光景だろう。


───しあわせそうな死体の表情。




何故か僕は高ぶる気持ちを抑えられない。



「ねぇ…君」



しゃがみこんだ僕は彼女に近寄る。
彼女の目は深い深い漆黒の闇に照らされていた。



「……だ、だめだから、っ…!」



息や声を荒らげる彼女。
僕はそんな彼女の両手を強引に握った。

彼女は青ざめた表情をして、目を瞑る。




´









´









───まぁ、分かってはいたさ。


君のその力は異能力だって。


僕の『愛してしまった』その異能力では


───僕を殺す事ができないんだって。


僕は《異能力》『人間失格』を発動していた。
……触れた異能力を無効化。


この異能で僕は死ぬことができなかった。


恐怖に目を向けないように閉じていた瞼を彼女が開ける前に、僕は彼女を押し倒す。


あぁ………愛してる。


そんな美しい異能を持てることが羨ましい。


自然と零れる笑み。



「………ねぇ、君。その異能力で、
私を殺してくれないかい?」



幼稚なことを呟いた僕は彼女を笑った。









──────




───へぇ、雨宮リイナか。



周りを見ようとするなんて駄目じゃあないか。
君が殺してしまった家族の死体をそんなに拝みたいのかい?


なんて言葉は口に出さない。




「……これは君のためだからだ。
…リイナ、これからは僕の言うことだけを聞いてくれ」


案の定、彼女は不思議な顔をする。


「………どうして?
何で貴方の言うことを聞かなきゃならないの?」

・ 太宰の過去(4)→←・ 太宰の過去(2)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
設定タグ:太宰治 , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。