君の香りで僕らは息をする(3)（SN）

知らないこと ページ2

(宮舘side)

目黒が今話さなきゃいけないと言うから、



落ち着くためにっていうのも兼ねて話を聞いた。








横アリの公演が終わった後、あまりの疲弊で歩けていなかったこと、



次の日心配で家に行ったら道端で倒れかけてたこと、



今日みたいに周りが見えてない、見ようとしてないって感じることがそれ以降増えていたこと。









驚きだった。



そういうことがあった事実にもだけど、



よく見ようって決めてたはずの俺と照が気づけなかったこともあったということに。



今思えばあの時ああだったのかなとか、



思うようなことばっかで。



情けなくなる。



照を見てみると同じ気持ちなのか悔しそうに俯いている。









｢俺たちの知らない何かがAにはある。｣









目黒がそう言った。



正直ピンとこない。









(佐久間)『何かって？』



(深澤)『分かってたら何かって言わないだろ。』



｢なんでそう思う？｣







(目黒)『Aの家に行ったことある人ならあーってなるかもなんですけど、



Aとその家族、写真でも実物でも



見た事ありますか？



何人家族とか、兄弟とか。聞いた事、無くないですか？



家にも、写真1枚もない。』









昔から一緒なのに聞いたことない。



話そうとしないのもあるけど、



俺らが聞いてもはぐらかされてきた。



だからいつしか聞かなくなった。









｢小学生の頃から知ってるけど、ご両親ていうか、家族誰一人見たことないね。｣

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