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相方と初めてこんなに険悪なムードになったかもしれない。あん時もちょっと悪かったけど、こんなになるほどやなかったし。
辻󠄀「どうしたん？」
『星川とちょっと喧嘩した･･･気がする』
辻󠄀「大丈夫なん？仲直りした？」
『するつもりやけど･･･何か、一方的に当たられた気もする･･･うん』
辻󠄀「そうかぁ･･･」
『進の･･･こと、なのかなぁ･･･うーん･･･』
辻󠄀「今、大西関係ある？」
『え、･･･うん、ない気もする･･･』
辻󠄀の冷たい声に反射的に「ない」と言ってしまった。
辻󠄀「お前は、お笑いのことだけを考えとけばええやん」
な？、と真っ直ぐな目が私を見つめる。何だか、この目に毒されているような感覚になる。けど、それぐらい辻󠄀の言葉のウェイトは重い。
堂前「辻󠄀、菊本のこと口説いてるんか？」
辻󠄀「いや、説教してました」
『説教･･･？』
堂前「本人は思ってへんみたいやで」
辻󠄀「説教のはずやってんけどなぁ･･･」
ははは、と笑う辻󠄀が怖い。何だか、人が変わったみたいで。堂前さんが通り過ぎると、それに着いて行きたくなった。これは助けて欲しいなのか、何なのか分からない。
『じゃあ、私行く･･･』
辻󠄀「何で？」
『何でって･･･』
掴まれる手首が段々痛くなってくる。力強くなってるやん。
辻󠄀「俺の側に居って欲しい･･･ってだけじゃ、あかんの？」
『･･･辻󠄀、』
そんなことない。そんなことないけど･･･。
『私、恋愛感情とか･･･そういうの･･･分からんし･･･』
辻󠄀「そんなん誰も分からんくない？俺もそうやし」
『じゃあ、･･･どうやって好きやって思ってるんよ？』
引き寄せられて、耳元で囁く。
辻󠄀「お前の隅々を知りたいって思ったら･･･俺は好きやと思っとるよ」
『隅々･･･？』
辻󠄀「どんな映画が好きなんかなぁとか、どんな音楽が好きなんかなぁとか、どんな男の人が好きなんかなぁとか、どんなお酒が好きなんかなぁとか、逆もそう。どんなのが嫌いっていうのも全部知りたいって思ってまうな、俺は」
『･･･エレパレ？』
辻󠄀「ええねん、それは」
頭を撫でられると心が動く。辻󠄀でもええんかなって。受け身やから、そういう感情が分からない。もう少し、もう少しでええから待って欲しい。
私なりの答えが出るまで。
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年11月24日 8時
