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辻󠄀「よっ、」
『お待たせ』
辻󠄀「ええよええよ」
『迷わんかったん？』
辻󠄀「流石に迷わんわ。俺ん家から徒歩で行ける距離やで？」
『それでも迷ってたイメージしかないねんけど』
辻󠄀「んなアホな」
今日は、辻󠄀とデートをするらしい。結局、お互いの仕事の都合で夜になってもうたけど。
辻󠄀「手、出して？」
『え、何？』
ギュッと繋がれる手。こういうの平然とやるようなタイプやったっけ？しばらく歩いていてもなんだかその疑念が取れない。こいつ、ほんまにあの辻󠄀なのか？
『キャラ変わったな、お前』
辻󠄀「そういうお前も変わったやん」
『どこら辺が？』
辻󠄀「ひねくれてるところ〜」
はい到着、とマンションの前に来る。随分とええ所住んでるのな。それもそうか、私らなんかよりもうんと稼いでるもんな。
辻󠄀「さ、上がって」
『お邪魔します･･･』
辻󠄀「どーぞー」
出会ってから今まで、こいつのこんな顔を見たことがない。優しくて、でも男らしくて、柔らかい。そんな顔。
『彼女になったら･･･、この顔見れるんかな･･･』
辻󠄀「どうしたん？」
『ううん、なんでもない。にしても綺麗やな、部屋』
辻󠄀「別に俺ん家、元から汚ないねん」
『私の家と同じぐらいやん』
辻󠄀「お前が綺麗好きなん意外やったわ」
『やろ？』
そこ座って、と指さされた場所に座ると、あれよあれよの間におつまみや酒が出てくる。セルフシステムだとばかり思ってたんやけども。
辻󠄀「何見たい？」
『なんでもええで』
辻󠄀「うん」
ベタに恋愛映画なんかい。
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年11月24日 8時
