辻󠄀という男 ページ14
・
辻󠄀「最近、よくマンゲキ居らん？」
『うん、前回のグランドバトルが割かし良しめやったからな』
祇園左遷、と私は呼んでんねんけど、それが前回のグランドバトルの結果で左遷が和らいだ。そして、最近はマンゲキに居ることが多くなった。
辻󠄀「ふーん」
『私の髪触って楽しいの？』
辻󠄀「サラサラやから楽しいで。直毛羨ましい」
そうなると、必然とこの男と一緒に居る。ニッポンの社長辻󠄀。私のマブダチだ。
『私は、辻󠄀の髪好きやけどな。爆発しとって』
辻󠄀「バカにしとるやん」
『してへんしてへん。パーマかけてへんのにふわふわでええなぁって思ってる』
こいつとは距離が近い。けど、お互い踏み込んで欲しくないところは弁えている。絶妙なバランスで保たれている間柄ってやつだ。何でも気兼ねなく言えるのは進ぐらいかな。
辻󠄀「褒めても何も出んぞ？」
『別に辻󠄀にそういうの求めてへんし。何かくれるんやったら別やけど』
辻󠄀「じゃあ、何かあげよか？」
『えっ、』
辻󠄀「いや、ていうかほんまに渡すもんあってん」
座っていたソファを離れて、カバンの方に行った。何かあったっけ？
辻󠄀「はい」
『ん？何これ』
辻󠄀「俺からの誕生日プレゼント」
『誕生日･･･？･･･だいぶ前ちゃう？』
辻󠄀「お前がいつまでも祇園に居るから渡せへんかったの！」
『はいはい、･･･見ていい？』
辻󠄀「どうぞ？」
袋を開けると、シャツにマスク、メイクポーチ。それに、ライター。
『羽振りええな。私、お返しそんなに金かけれへんねんけど』
辻󠄀「お前に似合いそうって思って買ったら、こうなってもうたわ」
『キモ、私の事好きすぎやん』
辻󠄀「うん、まぁな」
女芸人全員落としてきたから、遂に狙われてる？いや、無理やわ。マブとしか思えん。無理無理。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：明烏 | 作成日時：2021年11月24日 8時
