道化師さんが大好きな錬金術師【神代類】【男主】 (ページ7)

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5.進んで放課後ページ7

教室で一人、神代さんを待つ。

図書室で借りた本のページをめくり、物語の登場人物の感情に思い更ける。

猛暑が続くこの季節。

暑さは感じないのに、流れてくる汗で制服が肌にくっ付いて気持ち悪い。
早く、帰りたい。

またぺらり、とページをめくると同時に後ろからの重み。

類「待たせてしまってすまないね。」

耳元で話され、少し吐息が耳に当たりくすぐったい。
少し、本当に少しぴくっとしてしまった。

類「ふふ、可愛らしい反応をしてくれるねぇ。」

いつも細い目をより細め、僕に微笑む神代さん。

『用があるなら、早く済ませてしまいましょう。家に帰ってシャワーを浴びたいので。』

そう言って、神代さんと向き合う形になるように座ると、

類「ならば手短に言おう。好きだよ、Aくん。」

と聞き取り易いスピード、声色、速さで言った。

『…は？』

何考えているか分からない人に、こう言われて驚かない奴など居るものか。
…居るかもしれないけど。

類「Aくんに聞き取り易い言い方のつもりだったんだが…。計算ミスでもしてしまったんだろうか…」

と変な所で首をかしげる神代さんは本当に考えていることが分からない。

何を目的としているのか。
ちゃんと聞こうと思い、背筋を伸ばす。

『僕に告白して何のつもりですか？』

そう質問をすると、

類「理由は2つあるね。まず1つ目は、ただ気持ちを伝えたかっただけ。2つ目は、あわよくば付き合って欲しくてね。」

と言われる。

『とりあえず一回頭冷やします？僕の手冷たいので丁度良いですよ。』

そう言いながら、神代さんの額に手を当てる。

人の体温って感じがした。
暖かくて、血がちゃんと流れてる、って分かった。

ゆっくりと神代さんの額から手を離し、自分の額に手をおく。

冷たくて、血がちゃんと流れているのか不安になった。

『人は、違うんですね…。』

“暖かい人”もいれば、“冷たい人”もいる。
僕は、“冷たい人”。

『ごめんなさい。神代さんの気持ちにはお答え出来ません。それでは。』

そう言って、神代さんの横を抜けようとすると、

類「そうかい。じゃあ、僕は答えられるようになるまでアタックし続けるよ。」

と言われた。

『は…？』

普通、ここで諦めるよね？
…本当に、考えていることが分からない人だ。