3.いつまで寝ているんだい？ ページ5
side rui
『すぅ…すぅ…』
授業中にも関わらず、見事に寝息を立てているAくん。
あの数学の先生は怖いのに、度胸があるものだ。
僕は問題を解きつつ、チラチラとAくんのあどけない寝顔を見る。
と言うか…
「よくバレないものだねぇ…。」
Aくんは授業が始まる前から寝ていて、今は授業が終わる数分前。
どうしたらここまでの長い時間寝るのだろうか。
すると、突然もぞもぞ動き出し、顔を上げる。
目を開け、目に掛かった前髪を整えている。
まるで女の子のよう。
『あれ…？』
と首をかしげ、目を擦るAくん。
すると、横に掛けてあるカバンから何かを取り出した。
取り出したのは眼鏡ケースらしく、それを開けて眼鏡を取り出していた。
Aくんと一緒のダークブルーのフレームが特徴的な眼鏡はびっくりするほど、Aくんに似合っていた。
『ん…？』
また首をかしげて、黒板をまじまじと見つめる。
すると、ふと僕の方を見た。
綺麗な夜空色の目と目が合う。
『えと…。』
「おはよう、Aくん。見事に寝ていたね。」
そう言いながら、微笑むと頭が覚醒したらしく、
『ノートとらないと…！』
と急いで黒板に書かれている事を書いていた。
Aくんの字体は丸っこくて可愛らしい字体だった。
僕は、Aくんを微笑ましく見てから、黒板に向き直した。
.
.
.
.
「さて…。」
今日の全ての授業が終わり、Aくんの様子を確認する。
また寝ていた。
君の睡眠時間はどうなっているんだい？Aくん。
流石に起こそうと思い、Aくんの方に手を起き、少し揺する。
「Aくん、帰りのHRが始まってしまうよ。」
そう言うと、すぐに起き上がり僕の顔を見てきた。
「？」
『あぁ…、神代さんか…。』
と目を擦り、眼鏡を外すAくん。
『ふぁぁぁぁ……。』
「すごく眠そうだけど、どうかしたのかい？」
そう聞くと、一瞬顔をしかめたあと、
『ただ眠いだけですよ。』
と答えた。
「何もそんなに嫌そうにしなくても良いじゃないか。」
と言えば、
『僕の自己紹介聞いてました？』
と返ってくる。
「あぁ、もちろん。聞いていたよ。」
聞き逃すわけがない。
好きな人の自己紹介だからね。
『だったら、最低限の会話は控えて下さい。』
と僕を睨み付けて、教科書などを片付けに行ってしまった。
今日のラッキーバーチャルシンガー
初音 ミク(ニーゴ)
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作者名：病帰-yamiki- | 作成日時：2021年7月11日 11時
