7小節目 ページ9
A
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「落ち着いたか。」
「……悪かったわよ。けど私の気持ちもわかって欲しいの。」
「俺には全くわからんわ。そんなに暴れて気済むんけ。」
「済むわけないけど……大人になってあげたの。」
明らかに機嫌悪そうに舌打ちして煙草に火をつけるコネシマ。
走る車の中で会話はなくて煙を吐いているのかため息をついているのか分からない深い呼吸の音だけが室内にやけに残る。
「行くぞ。」
「どこに？」
「スイーツが美味いカフェに動物園？あとお前へはのとっておき……とっておきってなんや。てかカフェこれグルッペンが行きたいとこちゃうんけ。」
「あなたが着いて来なければ楽しいかもね。」
売り言葉に買い言葉、ふんとそっぽを向いてそっと運転手席を覗くけど彼の表情は険しいまま動かなくて心の底からやりにくい。
「監視のために行くんや俺となんて能天気なもんちゃう。」
「一人で楽しめってあなた難しいこと言うのね。仕方ないからあなたとでもいいからいてちょうだい。自撮り棒代わりにはなりそうね。」
「勝手に使おうとするな俺の事を。」
結論から言うと、カフェのスイーツは甘くて可愛くて美味しかったし動物園には珍しい動物もいて凄く楽しかった。
これでもかとW国で楽しい思いをさせてもらって絆されてはダメだとわかっていても楽しいものは楽しい。仕事とレッスンの間に嫌な顔をしても着いてきてくれるコネシマの存在にも慣れ、話しかけても嫌な顔は未だにされるけど流すコツも分かってきた今日この頃。
もうそんなのは問題じゃなかった。
「あなた、チワワにそっくりよ！コネチワー！」
「誰がチワワじゃ調子乗るんとちゃうぞ。」
「そうやってキャンキャン食いかかってくる所がそっくりって言ってるの。」
「勝手に言っとけ。ほらはよ行くぞ。」
「待ってよ！私家にいれないからワンちゃんお迎え出来ないけど、いつかチワワと一緒になりたいの。引退したらお迎えするわ！んー！かわいっ！」
「……引退するんか。」
「一生アイドルなんてできないわ。望んでも新しい子たちに淘汰される。その去り際くらい見極めれるわ。……さ、次！明日はどこに連れていってくれるの？」
「ったく本来の目的忘れとるんとちゃうか？明日は約束の一週間、グルッぺンがサシで話したいんやと。その前に海に連れていけやと。
海？こんっな寒いのに!?」
「海、行っていいの!?」
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年3月5日 14時
