6-2小節目 ページ8
目を光らせて私が立ち上がって何をするのかと次のモーションを楽しみにしているかのように見つめてくるこの国の頭領にひと睨みきかせてふんっと顔を背けてやる。
「コネシマ、引き続きこの面白……威勢のいいお嬢さんをお守りして差し上げろ。」
「はぁ!?おまっ、ここまで言われて！お前！」
信じられないと言いたげに私を指さして青筋立てるコネシマも知らん振り。
世界中旅してきたけどこんな国はどこにもない！
「よし、フラウ。こうしようじゃないか、全て自費でのコンサートがお望みなら仕方ないがこの話は全て無しにする。ただあと一週間だけ我々にもチャンスが欲しい。この国の何も見ていないのに嫌いと頭ごなしに否定されては悲しいものだ。」
「オールキャンセルですって!?この国にも私のファンがいるの！私のライブが必要でしょ!?」
「まぁ聞け。一週間、コネシマがこの国を見せて紹介して回ろう。レッスン場もそれまでの間好きに使ってもらって構わない。……俺たちの国には俺たちの国のやり方がある、それを分かってくれればこちらの言い分もわかるはずだ。」
「俺はやらん。絶対この女連れて歩くなんてやらんぞ俺は！」
青筋を立てたまま声を荒立てるコネシマ。
こっちだって願い下げ！
そう言って舌を出して全力で嫌悪の表情をコネシマに見せてやる。
当の本人の男はこの話は終わったとでも言いたいのか全く私に興味を示さなくなったグルッペンさんがせやな、と言ってメモをコネシマに手渡していた。
「ここに連れていけと。」
「魅力を紹介しろとわ言わんで。連れて行って、危険がないように見張っていろ。それだけでいい。」
「クルマ出せっちゅーことやな？」
「特別報酬は弾んだる。」
「ったく覚えとけよ。金はいらんわ休みよこせ。」
丸め込もうたって、そうはいかないんだから。
＿＿＿＿＿＿
フラウはドイツ語でお嬢さん的なニュアンスで受け取って頂ければ……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年3月5日 14時
